#星詠みの詩
【この世界の真相:監督官秘匿HO】
「美しく儚きこの世界は、星の力で成り立っている」
しかし、彼らはまだ知らない。そんな綺麗事ばかりでできた世界ではないことを。
きっかけは300年前、射手座の星詠みが口論の末に蠍座の星詠みを殺害してしまったことだった。
ペアとなっている星詠み以外の星詠みと任務に当たったことによる規律違反とみなされ、星詠みとしての加護が得られない状況にあったのだろうと、ある監督官は判断した。
その後世界の均衡が少しずつ崩れ始め、星の子たちは代わりとなる星詠みを探した。しかし、新しい星詠みを見つけるも、一度神の心に逆らった星詠みたちには神の裁きが下ることとなる。
――彼らなど所詮、愚かなニンゲンじゃないか。
以降、星詠みたちは各々の代償を抱え、過去の星詠みの罪を背負い神として生きている。その代償の多くは進行性のもので中には命に関わるものもあるのだが、星詠みたちはそれを知らない。
――自分達が永遠の命を持つ選ばれたものだと、信じきったまま。
私たちは知っている。彼らには、滅びゆく運命があることを。そしてこの世界の崩壊は、彼らの代償が作用していることも。
しかし、代償の存在を彼らに明かせば、彼らは世界を維持するための力を放棄しかねない。
――この事は、この事だけは必ず、彼らにばれないようにしなくてはならない。
【以前の星詠みについて】
星詠みは、星の子が見初めた人間に力を与えることで、その加護を得られる。それを我々は「星の子の契り」と呼んでいる。
「星詠みは星の子の契りを解くことで解放される」
この言い伝えを星詠みに告げた監督官がいた。星の子の契りを解くということはすなわち、星の子の力を奪い、彼らを人間に戻すということ。何百年もの時を生きた彼らには、あまりにも残酷な選択でもあった。
――それに気づくのが、遅すぎたのだ。
彼らを救済する方法は2つ。星の子の契りを解いて、彼らを人間に戻し、神という存在から解放すること。
そしてもう一つは、彼らが天命を全うするまで代償を抱え続けること。
いつか、選択せねばならぬ時が来るだろう。
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