任務編2 ポルックス組
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任務編2 ポルックス組
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#星詠みの詩
【任務編2 ポルックス組】
僕たちは引き続き、神々の天文台で調べ物をしていた。書物は何日かけても読み終わらないほど大量にあるので、そこからヒントを得ることは骨の折れる作業だけど、読んでて飽きないものもたくさんある。時折メモをしながら書物を読んでいると、ポルックスがぱたりと本を閉じた。
「……ふむ」
「どうしたの?ポルックス」
ポルックスは指先で眼鏡を押し上げながら、険しい表情を浮かべた。けどすぐに、「気のせいか」と呟いて、本を読み始める。何か、気になることでもあったのかな。
そんなことを考えていた次の瞬間、突如天文台が大きく揺れはじめた。
「えっ……!?地震!?」
「雲の上の世界にも地震ってあるんだー」
「のんきなことを言っている場合か!?二人とも、頑丈な物の下に隠れて待機しろ!」
僕は言われるがまま、机の下に身を潜めた。しばらくすると激しい揺れが徐々に収まり、あたりには静寂が訪れた。
「いやー、地震なんて300年ぶり!ちょっと楽しかった!!!!」
「何を楽しんでいる。星空の下で地震、まさに異常事態だぞ!?全く、お前は本当に危機感が足りん……」
大人げなくはしゃぐジェミニと、それを叱るポルックス。また長い説教が始まりそうだったので、僕は勇気を出して声を上げる。
「あ、あのーっ!お説教は後で!!……先に、天文台に異常がないかを見て回らない?結構大きな揺れだったし、みんな任務で人間界にいるから心配だし……」
「そうだな。ジェミニ、お前は何か変化を感じていないか」
「うーん、そうだね。人間界につながる鏡がある部屋。そっちの方角からなんか嫌な予感がする」
僕たちは書物を元の場所に戻すと、人間界につながる鏡がある広間へと向かった。
建物自体に大きな影響はなかったものの、廊下には床に本や備品が散らばっていて先ほどの揺れの大きさを物語っている。
……何も起こっていないといいんだけど……。
不安と緊張の中、広間についた僕たち3人は、言葉を失ってしまった。
「うわ……」
「これは……」
広間の中央。まるで異世界へつながる扉のようにそこに鎮座する鏡は、大きなひびが入り今にも砕けてしまいそうだった。
「これじゃ、任務に向かった星詠みや監督官たちは……」
「いや、まだ完全に割れてしまったわけではない。戻ってくることは可能だろうが、かなりリスクを伴う行為になるだろう。それに、彼らが帰るための場所……星神の天文台にある鏡も無事とは限らん」
「っ、リブラと連絡が取れた。人間界でも地震が起きてるみたい。アンタレスたちのところは鏡が割れて戻ってこれないってさ。一先ず、私たちは私たちにできることをしよう」
そこで僕たちは星空の下にとどまることにした。人間界に任務に向かっている星詠みたちには、人間界にとどまって引き続き任務にあたるか、星空の下に戻って一緒に天文台を調べるかを選んでもらうことにした。
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☆ポルックス組の判断→天文台にとどまり、情報交換を行いながら現地の星詠みに指示を出す。
☆天文台で得られた情報
【床に散らばった「過去の報告書」】
報告書には、こう記されている。
『●月●日、蠍座の星詠みが死去。死因はナイフで胸部を刺されたことによる失血死。その場に担当監督官とパートナーである天秤座の星詠みがいなかったこと、他の星詠みと任務にあたっていたことから、星詠みとしての加護が薄れていたことが考えられる』
【割れてしまった鏡】
人間界と星空の下をつなぐ鏡だ。普段は大きな鏡に様々な世界がかわるがわる映されるが、ひびが入った影響なのか黒い雲のような模様が不気味に渦巻いている。星の子の力を使えば、修復できないこともなさそうだ。
🎶「時計図書館」MATSU様
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