蜜月アン・ドゥ・トロワ
カトレア・クリムゾンローズ、ヴィオラ・マンジュリカ/DATEKEN
蜜月アン・ドゥ・トロワ
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𝔐𝔦𝔡𝔫𝔦𝔤𝔥𝔱𝔐𝔬𝔬𝔫𝔓𝔞𝔩𝔞𝔠𝔢 𝟒
これは私の夢。そう、私だけの夢_____
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私はずっと、あなたが羨ましかったの。
だから私だけのものにして閉じ込めてしまえば、私が1番になれる。この世界では…あなたの世界では、私が全ての中心になる……
どんなにもがいても、彼女__「アイ」には届かなかった。
これは、カトレア・クリムゾンローズ…「月城麗愛」のお話。
ヴーと、ブザーのようなものが響きわたり、幕が上がる。
突然劇が始まるのかと当たりを見渡すが、観客はあなた一人のようだ。
「カトレア、起きて」
「……あら、ここはどこかしら。」
「誰かが時計に細工をしたみたい。あれはお客様用のものなのに。」
「…犯人の目処は着いているわ……恐らくあの双子の片割れでしょう。それにしても…」
カトレアは辺りを見回し、自分たちに当たるスポットライトを怪訝そうに見上げる。
「ここは舞台の上のようね。せっかくだしダンスでもしてみる?」
「私…踊れない」
「そんなことないわ、手を取って」
カトレアの差し出す手にヴィオラはそっと手を重ねる。
__あの日からずっと……“アイ”は私の手の中にいる。
あの少女__月城麗愛が“私”の封印を解いたその日から。
月城麗愛が何故こんなにもアイに執着しているのかはよく分からなかった。
時々流れてくる彼女の記憶は、とても苦しいもので昔の私を彷彿とさせる。
ぱっと舞台にスクリーンが現れ、くるみ色の髪に紫の瞳を持つ少女が映し出された。
月城麗愛__彼女は所謂アイドルを目指していた。
魔法を歌に乗せ、人々を癒す“ウィチェリー”というグループを作り仲間たちと共に力を合わせて日々練習を重ねていた。
そういえば聞こえはいいだろう。
月城麗愛は少し高飛車な性格をしていた。
自分に優れた歌の才能があったため、「できないものの気持ち」が理解出来ず強く当たる事があった。
メンバーたちは表上では仲良くするものの、裏では麗愛のことをあまりよく思っていなかったためか、彼女がいない場所では麗愛の陰口を囁いていた。
彼女の実力を妬むような声もある中、ただの悪口も含まれていた。
『りあは人を癒す魔法?とか言ってるけど菫の方が似合うよね』
『今はもう菫って呼んじゃ行けないかなぁ。彼女は“アイ”なんだから』
アイ_こと、愛咲菫。蓮水蒼空と2人で“AbsoluteRainbow”というユニットを組みデビューして間もなく超絶な人気を得ている。
麗愛と菫はかつて親友だった。
2人とも紫色の瞳を持ち、かつては一緒にデビューをしよう…そう誓った中だった。
蓮水蒼空が現れるまでは__。
菫と蒼空の相性は全てがピタリと合わさり、まるで無くしていたパズルピースが見つかったような、そんな運命の出会いだった。
麗愛たちが通っていたアイドル育成事務所も、当然菫と蒼空2人でのデビューを推薦した。
蓮水蒼空は同じ学校ではあったが話すことはなく、むしろ菫より麗愛の方が見かける機会が多かった。
蒼空によると、ずっと菫と話してみたかったと_そう言っていた。
___取られたくなかった。
菫は私の親友。他の誰でもなく__「月城麗愛」の親友だ。
だけど、事務所の後押しもありあっという間に菫は手の届かない存在となった。
菫はアイドルになってからも麗愛と関わろうとした。
_それを私は、素直に受け入れられなかった。
どうして私を選ばなかったの__?
そんな言葉しか浮かんでこなくて、なんの罪もない菫を傷つけてしまいそうだったから、彼女からずっと逃げていた。
だから、だったのだろうか。
“月城麗愛”から黒い薔薇が開花してしまったのは__。
菫はいつも麗愛を助けてくれた。
優しくて可愛くて、とても真面目な彼女は「大切な親友」を傷つけられるのを嫌った。
麗愛が悪く言われれば庇うだけでなくどんな相手でも謝罪をさせた。
そんな存在がいなくなってしまったのだ。
そう__月城麗愛は、自分にとって唯一の味方を失ってしまった…。
メンバーたちのエスカレートした悪口や事務所からの菫との比較、いつの間にか麗愛が「どうしてそんなことも出来ないのだ」と言われる側になっていた。まるで、今までの自分への報いのように……。
何もかも全てが苦しくなった麗愛は、まるで導かれるように禁じられた森に入ってしまった。
その森には危険な魔女が封印されているから容易に立ち入ってはいけないと、そう言われていたのに…。
麗愛は、森の奥深くにポツリと佇むツタにおおわれた小さな家を見つけた。
その扉に寄りかかると、ただ涙が溢れてきた。
無力な自分が情けなくて、いきなり現れて菫を“自分から奪った”蒼空が憎らしくて許せなかった。
そんな憎悪が芽吹いていることも知らず、探しに来た雪中羽那乃と花笠せつなが麗愛に声をかける。
「麗愛、大丈夫だから帰りましょう。りんご達のことなんて気にしなくていいのよ」
「勝手に言わせておけばいいんだよ……それより……早くここから出ないと、危険だと思う…」
せつなは少し眉をひそめ、羽那乃の手を握る。
「……あなたたち、離れなさい」
「麗愛……なんだか様子が__」
「今すぐ私から離れてちょうだい!何かおかしい……っ……!」
がくん、と麗愛はその場に倒れ込む。
「麗愛!」「れあち!」
すぐさま羽那乃とせつなは麗愛に駆け寄るが、麗愛が自ら掛けた防御魔法により弾き飛ばされてしまう。
「どうして……?」
「……はなのん、れあちの魔力の流れがおかしい……」
「えっ……?どういうこと……!」
麗愛に目線を戻した2人は、信じられない光景を目にする。
「……麗愛から花が……」
「黒い薔薇…!どうなってるの!?」
「た、助けないと……!」
「…待って!避けて!羽那乃!」
「え……?」
麗愛に咲いた薔薇の棘が羽那乃に襲いかかる。
「……痛……」
頬を僅かに掠る程度で羽那乃は棘を避ける。
「恐らくあの花は近づくもの全てを敵と認識するみたい…麗愛は意識がないみたいだし」
「この花、すごく良くない魔力を感じるよ……このままじゃ麗愛の力を吸いきっちゃうかも……」
『何か困ってるみたいね、手を貸してあげてようかしら?』
「何……?」
『私の封印を解いてくれたら、その少女を助けてあげる。解かなかったら__あなた達の命が危険よ。それにこの絶望の棘は絶望の要因を縛り付けて息の根を止めるまで消滅しない』
「あなたは誰なの……?」
『……アネモネ・ペリリンクル__“悪夢の魔女”の方が馴染みがいいかもしれない』
「悪夢の魔女……」
「罠かもしれないよ、羽那乃……」
「でもきっとこのままじゃ、麗愛は花のせいで人を殺しちゃうかも…」
羽那乃は息を飲み、杖を魔女の封印されている小屋に向ける。
「やろう_せつな。麗愛を救おう」
「……わかった」
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𝐿𝑦𝑟𝑖𝑐
🦄誰も居なくなった二人だけの街に
機械仕掛けの時計が夜の訪れ知らせる
🥀夕闇が空をワイン色に染めて
不慣れな二人を舞台へと誘う
🦄Chass 'n' whisk 'n' Natural-Turn
貴方に魔法をあげる
🥀Throwaway and Oversway
その名前は honey mead
🍷蜜月 Un・Deux・Trois
互いの指を絡めて
singin' swingin' sweetest song
🥀二人の夢を奏でる
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ー𝐶𝑎𝑠𝑡ー
🥀カトレア・クリムゾンローズ
(cv.魚ヅカシャケ先生。)
🦄ヴィオラ・マンジュリカ
(cv.千華)
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𝑺𝒑𝒆𝒄𝒊𝒂𝒍𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌𝒔__
素敵な伴奏はこちら𓆸⋆*
https://nana-music.com/sounds/05469e3f
ありがとうございました𑁍𓏸𓈒
𝒊𝒍𝒍𝒖𝒔𝒕𝒓𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏:つきしろ やよい
本サウンドを聞いて下さり、ここまで目を通して下さり誠にありがとうございます。
本企画「12時過ぎの魔法使い」及び「シャルモントナイトメア」へのギフト機能の使用は禁止とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願い致します。
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