ロミオとシンデレラ
ヴィオラ・マンジュリカ/リリー・ラフレーズ/doriko feat.初音ミク
ロミオとシンデレラ
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𝔐𝔦𝔡𝔫𝔦𝔤𝔥𝔱𝔐𝔬𝔬𝔫𝔓𝔞𝔩𝔞𝔠𝔢 𝟑
あなたにここから連れ出して欲しい____
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カチ、と画面の切り替わる音が聞こえた。
(うわぁ……)
部屋一面に広がる星空に思わず見惚れてしまう。
ここもさっきの夢の続きなのだろうか?
当たりを見渡すと、リリーと紫色の少女が少し離れた場所に座っていた。
「ヴィオラ!大丈夫?」
「…ここは、どこ……?」
「さっきはアイリスと変な空間に閉じ込められたけど……ここはプラネタリウムみたいね…相変わらず出口はなさそうだけれど……」
「……アイリスは?」
「分からないの、さっきまで一緒にいたのに……」
「…リリー、プラネタリウムって月も出てるの?」
「え……?そういう上映もあるかもしれないけど私は見た事ないわね……っていうか、ヴィオラには月が見えるの?」
その言葉に、ハッとして空を見上げた。
どうやらあの月が見えているのはあなたとヴィオラだけのようだ。
「…リリーには見えないんだ……変だね」
「……ねえ、ヴィオラ。あんまり聞いちゃいけないかなって思ってたんだけど…本当に誰のことも覚えてないの?」
「……私の記憶のこと?」
「うん……私はパパもママも覚えてるし、アイリスも両親のことは覚えてる……ヴィオラは目覚めた時にはもう記憶がなかったって聞いてるけど…」
「……本当は、1人だけぼんやりと浮かんでる人がいる。でも思い出せなくて、思い出そうとすると頭がぼーっとしちゃうの」
少しだけ悲しそうな顔をして、ヴィオラは目を閉じる。
「じゃあ!思い出してみようよ!今はカトレアもいないんだから少しくらい自由にしてていいと思うよ!」
ヴィオラの手をぎゅっと握って、リリーは彼女に笑いかける。
「リリー……」
「その人の特徴!思い出せるだけ言ってみて」
「……黒い髪」
「うんうん……」
「青い目…をしていた。いつも笑ってて、いつも一緒にいて……私を、私として見てくれて……私の特別だった。これ以上は思い出せないの。」
「……そっか……うーん」
リリーは当たりを見回し、星のカケラのようなものを手に、中に線を描いた。
「わ!空間にこれ文字が書ける!すご〜」
リリーは何かを閃いたように名前を描き始めた。
「ねえ、私たちって名前に花が入ってるよね。それって何か意味があるのかな?」
「……意味……カトレアがつけた意味?」
「そう。例えば私はリリーとラフレーズっていう別の植物が入ってるじゃん?」
「百合と苺……」
「そうそう、なんかそういうので無いかなって。カトレア、クリムゾンローズ…はカトレアと薔薇かな?」
「アイリスプルシャン、は彩芽と色の種類」
「プルシャンって色だったんだ!」
「ヴィオラ、マンジュリカは____」
『菫!』
誰かの声と共に一面にひまわり畑が広がる。
「わっ!眩しい……!」
突然の太陽の光に目が眩んだリリーはぺたりと床に座り込んだ。
「……あなたは……だれ?」
黒い髪に青い瞳…先程ヴィオラが特徴を上げていた人物によく似ていた。
「……菫。こうやって君と話が出来て、すごく嬉しいよ」
「えー!!??い、イケメン……!?」
「…君は……カトレア・クリムゾンローズの仲間?」
少し警戒したような声にリリーは驚いて両手を振る。
「そ、そうだけどっ!今はヴィオラの記憶が戻らないかって話をしてて!あなたに特徴が一致している人の話をヴィオラから聞いただけで…」
「僕のことを、覚えてるのか?」
「……」
自分のことを僕と呼ぶその人は、とてもボーイッシュな格好をしているが体つきからしては女性のようだった。
「……ごめん、なさい……わからない……」
「ヴィオラ…どうして泣いてるの?」
「……???」
「…ああ、泣かないで菫……分からなくていいんだ。君の記憶はカトレアに閉じ込められてしまっているから仕方ないさ」
「カトレアに…?」
「…君は随分魔力が不安定だね。カトレアとの“契約”が切れるのも時間の問題_かな?」
「……なに、よ、それ……」
「自己紹介をしてなかったね。僕は蓮水蒼空……君の敵である“ウィチェリー”だ」
「……まさか、ヴィオラは…」
信じられないというより…信じたくないという表情をしたリリーはヴィオラの方を振り返る。
「そうだよ。彼女は僕と一緒に世界から悲嘆の芽を浄化してきたウィチェリーだ。」
「そんな……ヴィオラが私の敵……?」
「敵と思うのはまだ早いよ。僕は君ともどこかであったことがあるような気がするんだ。君…名前は?」
「リリー……リリー・ラフレーズ」
「……なるほど、君は子役の白百合苺花だね。カトレアは随分誰かわかりやすい名前をつけてるもんだな。」
「白百合…苺花……」
リリーが名前を口にするとぶわっとピンク色の光が溢れ出す。
「わたし、わたし……!そうだ、思い出した!私は、私は!」
リリーのピンク色の髪がみるみる茶色へと変化していく。
「……これが夢の中じゃなかったらどんなに良かったことか。そしたら2人も元の姿に戻してあげられたのに。」
「ねえ、もしかしたら“本当の名前”を呼ぶことが…契約を解く方法なの?」
「この世界は夢の世界だからね。現実でも成功するか分からないけど、可能性はあるね。」
太陽を隠そうと現れた雲を、蒼空はうっとおしそうに見上げる。
「……夢の中ですら僕の邪魔をしようとするのか、カトレアは。でも残念だね。今回は僕の勝ちだよ。」
蒼空はヴィオラの手に自分の手を重ねて、泣きそうなほど優しい声で彼女の名前を呼ぶ。
「愛咲菫…これが君の本当の名前だよ、菫。」
ずっと記憶を覆っていた雲が晴れるように強い光が溢れ、ヴィオラの瞳に光が宿る。
「蒼空……ごめんなさい、私___」
「いいんだ、君が無事なら……それにこれは所詮夢。このゆ目が覚めてしまえば…君は僕のことをまた忘れてしまうからね」
「そんなの嫌……!」
菫がぎゅっと蒼空に抱きつくと、蒼空は菫の背中をそっと撫でる。
「…カトレアって悪夢の魔女だよね。どうしてそんなに菫に執着するのかしら」
「そんなの菫がウィチェリーだから、というのだけで十分な条件になるよ」
「……でも苺花の言う通りかも。カトレアにだって、素の姿があるはずよ……悪夢の魔女と一体化する前の元の姿が……」
菫と蒼空の前に、ミルクティー色の髪をした少女がぼんやりと現れる。
「あれは……月城めあ?」
「……違う。この人は…」
知っているはずがない姿に、何故か懐かしさを感じた。
私はこの人を知っている。知っていたはず……
「…月城麗愛、私の親友______。」
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𝐿𝑦𝑟𝑖𝑐
🍓私の恋を悲劇のジュリエットにしないで
🦄ここから連れ出して…
💍そんな気分よ
🍓パパとママにおやすみなさい
せいぜい いい夢をみなさい
大人はもう寝る時間よ
🦄咽(むせ)返る魅惑のキャラメル
恥じらいの素足をからめる
今夜はどこまでいけるの?
🍓噛みつかないで 🦄優しくして
💍苦いものはまだ嫌いなの
🍓ママの作るお菓子ばかり食べたせいね
🦄知らないことがあるのならば
🍓知りたいと思う 普通でしょ?
🍓全部見せてよ
あなたにならば💍見せてあげる私の…
💍ずっと恋しくてシンデレラ
🍓制服だけで駆けていくわ
🦄魔法よ時間を止めてよ
悪い人に 邪魔されちゃうわ
💍Ah 逃げ出したいのジュリエット
🦄でもその名前で呼ばないで
🍓そうよね 結ばれなくちゃね
そうじゃないと楽しくないわ
💍Ah ねえ 私と生きてくれる?
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ー𝐶𝑎𝑠𝑡ー
🦄ヴィオラ・マンジュリカ
(cv.千華)
🍓リリー・ラフレーズ
(cv.ここあ)
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𝑺𝒑𝒆𝒄𝒊𝒂𝒍𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌𝒔__
素敵な伴奏はこちら𓆸⋆*
https://nana-music.com/sounds/0395fabe
ありがとうございました𑁍𓏸𓈒
𝒊𝒍𝒍𝒖𝒔𝒕𝒓𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏:つきしろ やよい
本サウンドを聞いて下さり、ここまで目を通して下さり誠にありがとうございます。
本企画「12時過ぎの魔法使い」及び「シャルモントナイトメア」へのギフト機能の使用は禁止とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願い致します。
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