蜜ノ味
カトレア・クリムゾンローズ、アイリス・プルシャン/Rain Drops/syudou
蜜ノ味
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𝔐𝔦𝔡𝔫𝔦𝔤𝔥𝔱𝔐𝔬𝔬𝔫𝔓𝔞𝔩𝔞𝔠𝔢 𝟓
誰かの身勝手な言葉はいらないの__。
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「やろう_せつな。麗愛を救おう」
「……わかった」
2人が魔女の方を向くと、ドアの上に魔法陣があらわれ、封印を解く呪文が浮かび上がる。
「…先生に怒られないかな」
「怒られたとしてもこのままよりマシなはずだよ」
羽那乃とせつなはギュッと手を握る。
『ユーフォルビア・エリーゼ・リベラーレ!』
魔法陣からみるみる赤い薔薇が咲き誇り、小屋のドアがゆっくりと開く。
突風が吹き荒れ、空には赤黒い雲が広がっていく。
恐ろしいほどの魔力が、この小屋中に溢れかえっている。
「友達思いの少女たち、感謝するよ。約束しよう_この少女を救うと…」
「っ……!すごい魔力……!!!」
「これ、私たち……飲み込まれるっ!」
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「……やっぱり、私の魔力には耐えられないか」
倒れた2人の少女を悲しげに見つめる姿があった。
黒い髪に赤い瞳……その姿は正しく“カトレア・クリムゾンローズ”だった。
「一か八か、魂であるユメノハナを抜きとることには成功したものの……少女の身体に入ってしまうとは……」
『あなたは私を助けてくれたの?』
麗愛の声が彼女の脳内で響いているようだが、こちらにもはっきりと聞こえてきた。
「…そうなるね。成功とは言えないけど……失敗とも言えない。それにしても凄いね君。私の魔力に抗えるなんて。普通ならこの2人のように意識を失うはずなのに」
『……羽那乃たちには悪いことをしてしまったわ…気を失っているだけよね?』
「そうね。ただ私の強い魔力を浴びているからそう簡単に目覚めることもないと思う。」
『そう……』
悲しげな“麗愛”の声に胸がギュッと苦しくなる。
今まで見てきた彼女の記憶_それは誰にでもある嫉妬の心だった。
そんな気持ちひとつでこんなことになるなんて、きっと彼女も思っていなかっただろう。
「それはそうと…私は君に感謝しなくてはならないな。暫くこの身体を貸してほしい……必ず返す約束をしよう。」
『何かしたいことでもあるの?』
「……私に出来る最大の償いをしようと思って。私たちの王国、フェーリロワイヤルの女王への報いをね。」
『フェーリロワイヤル…授業で聞いたことあるけど……』
「詳しいことはいずれ話すわ。まずは活発になってきているこの”悲嘆の芽”を浄化する存在__『ウィチェリー』を探さないとね。」
『ウィチェリー……って、昔めあと作った…“幸せの魔法使い”……』
「へぇ、ウィチェリーの名前を作ったのは女王だと思ってたけど君も知ってたんだね。」
『……あなた、悪夢の魔女よね…一体何を考えてるの……?』
「私はアネモネ・ペリリンクル_確かに悪夢の魔女と呼ばれてるけど元は女王候補だった魔法使いだよ。でも今は、君に話すには情報が多すぎる。最初にするのはウィチェリーたちの行動を止めること…協力してくれる?」
『……おそらくだけど、私の意思はそう長くは持たない。なるべく早く、詳細を教えてくれるなら__みんなからウィチェリーと呼ばれていたアレインのことは教えられるわ』
「そのアレインって中の人が、君は気に入らないんだね?」
『……お見通しなのね。そうよ、私は蓮水蒼空が気に入らないの。私から全てを奪った、あの女が___』
赤い瞳が強い光を帯び、引き寄せられたかのように赤い月が天に昇った。
森の奥からコウモリやカラスたちの鳴き声が響きわたり、怪しげな空気が漂い始める。
「大事な人と引き離される経験は私にもある。君の願い__叶えてあげるよ。」
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「こんばんは、素敵な魔法使いさん。」
「あなたは……誰……?」
「月城麗愛の記憶はもうないみたいね。残念だ。」
「麗愛のこと知って…!」
「ごめんなさいね。少し眠ってもらうわ__」
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またカチッという音が鳴り、部屋が切り替わった。
長いテーブルに座っていて、カトレア以外は食事をしていた。
自分の前にもお皿とグラスが置かれているが…
皿の上に置かれているのは薔薇の花のようだった。
ヴィオラ、アイリス、リリーは何も言わずに真紅の薔薇をナイフとフォークで口へと運んでいる。
カトレアだけはワイングラスを不機嫌そうに眺め、薔薇に口をつけていなかった。
そしてカトレアの皿にだけ…6色のバラが置かれていた。
紫、青、ピンク、黄色__そして小さな赤黒い薔薇と白い薔薇。
これは何かを意味しているのだろうか。
不気味だ。
そう思い席を立ち、ドアを開けるが真っ暗で何も見えない。
先程の部屋も見つからなくなって、途端に不安になる。
ただでさえよく分からないモノを沢山見てきたんだ、相当疲れている。
なのに、自分が今どこにいるのかもわからない。
一体ここはどこなんだろう……元の世界にちゃんと戻れるのだろうか___。
「顔色が悪いけど大丈夫かな?」
「ルベルが意地悪しすぎるからでしょ…手加減してあげなよ」
そんな声がどこからともなく聞こえてくる。
すると、今まで何も無かったはずの場所に扉が現れる。
アンティークのような、洋風のデザインのもの__すごく古ぼけた扉だった。
もしかしたら元の世界に戻れるかもしれない…。
扉をゆっくりと開くと、ギィィという重たい音が広がった……。
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𝐿𝑦𝑟𝑖𝑐
🥀他人の不幸は蜜ノ味
🦋いくら高価な宝の価値も
分からないなら🦋(🥀↑)藻屑といっしょ
🥀失くして初めて気づくなんて
🦋(🥀↑)アタシには無いようだ
🥀可憐にゆれている花すら
🥀🦋引き千切って散ってしまえ
🥀他人の不幸は蜜ノ味
自論にかまけてクズと化す
🥀🦋誰かの身勝手な言葉はいらないの
🦋無用なゴミもアナタのなら
自分のモノにと手を伸ばす
🥀🦋満たされないまま生きてくのさ
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ー𝐶𝑎𝑠𝑡ー
🥀カトレア・クリムゾンローズ
(cv.魚ヅカシャケ先生。)
🦋アイリス・プルシャン
(cv.日向ひなの)
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𝑺𝒑𝒆𝒄𝒊𝒂𝒍𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌𝒔__
素敵な伴奏はこちら𓆸⋆*
https://nana-music.com/sounds/05779587
ありがとうございました𑁍𓏸𓈒
𝒊𝒍𝒍𝒖𝒔𝒕𝒓𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏:つきしろ やよい
本サウンドを聞いて下さり、ここまで目を通して下さり誠にありがとうございます。
本企画「12時過ぎの魔法使い」及び「シャルモントナイトメア」へのギフト機能の使用は禁止とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願い致します。
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