【M33】ねんねこ寝まっしゃれ【石川2】
吹雪(ふぶき)
【M33】ねんねこ寝まっしゃれ【石川2】
- 2
- 0
- 0
松任(まっとう)市徳光町
伝承:北村富/1907年生
採集:小林輝治/1980年
採譜:中沢静子/1980年
収録:全集10上
キー:譜面G/歌唱F(1音下げ)
譜面テンポ:♩=92
◼️
ねんねこ寝まっしゃれ寝た子はかわい
起きて泣く子は面(つら)憎い
兄(あん)さまいらしたか足の湯を取ろか
酒の燗(かん)しょか床取ろか
あんにゃまあんにゃまと呼ばるは誰だ
連れのあんにゃまかあねさまか
坊(ぼん)さま山道 破れた衣(ころも)で
行きつもどりが気にかかる
こんな家には二年とおれぬ
悪童(こわら)痛める女郎(めら)せせる
◼️
寝まっしゃれ:寝なさい
いらしたか:「田んぼから戻って来られたか」の意
あんにゃま/あねさま:いずれもおかみさんの意(と全集の注にありますが、どちらもおかみさんだと、ここの歌詞は意味がよく分からなくなります。あんにゃま=兄さまでは?)
家:歌う立場からすると歌詞にはルビを振るか、かな書きして欲しい、というのが全集への注文(同様の例が各巻にあるので)。家は「いえ」「うち」──どちらが常識的な読みになるのでしょうか?
悪童痛める女郎せせる:背負った子に怪我させて女郎させられる。同じ歌詞が次の【M34】にも出てきますが、この点については【M11】を参照して下さい
◼️
不思議な雰囲気の唄。明らかな守り子唄パート(一番と五番)以外の「坊さま山道……行きつ戻りが気にかかる」といった世界は、むしろこちらが気にかかります。「酒の燗しょか/床取ろか」も守り子の言葉ではなさそう。加賀の歴史や一向一揆について踏み込む余裕はありませんが、全集にはまとめた解説もあり、この地の風土とわらべ唄の関係がわかります。子守唄編には伝承者のリアルな声も紹介され印象深い巻となっています。なお譜面は2/4拍子13小節ですが、冬濤は12小節目の頭(一番歌詞「つらにくい」の直前)に四分休符を入れて14小節で歌っています。
Comment
No Comments Yet.