彼女の根底に光を
sasakure.UK feat.土岐麻子
彼女の根底に光を
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無歌の花に飲み込まれたちぇり。彼女の脳裏に見たこともない像が直接流れ込む。無歌の根元にいる人物の記憶だろうか…。
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孤児院の管理人…怖いわ、私を見る目が違う…。他の子を見るのとは違う…説明はしにくいけれど。今日も食堂で後片付けをしていると、生温い手で肩に触れてきた。…ここに居てはダメだわ…。
小鳥が落としていった種は順調に育っていってる…。花を咲かせたらとても幸せね。今日も水を上げるために窓を開けると、この時間部屋の外を通る男性に声をかけられたの。お嬢さん、素敵な鉢植えですねって。嬉しかったわ…時間が許す限り話したの。彼は領地を仕切り、貿易を行う家の御曹司と言っていたの。
ダメだ…頭がいっぱいで考えがまとまらない…。管理人が夜、寝静まった頃に私を襲ってきたの。宝物の図鑑ひとつ持ってそのまま走り去ってしまった…どうしよう…戻ることが出来ない。かと言って、住むところもお金もない…。孤児院を無断で出たから、もうお母様にも会えない…場所の情報は孤児院が管理していたから…
「でも、必ず生き抜くわ。図鑑を支えに…」
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「こんな事がなかったら、きっと辛い過去を抱えて笑ってるって…私、知らなかったと思う…くーん…触れて良かったのか分からない。でもきっと、ここに居る意味と知る必要があると思うから!」
ちぇりの額に祈りの光が輝く。
集まった者達を次々飲み込んだ温室、突如ひとつの花から光が溢れ、消滅した。そこには太陽の橙を目に宿したちぇりが立っていた。
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無歌の花から解放され、園長の腹部に這った根が枯れ落ちました。
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