それでも眼中に浮かぶ
ゆず
それでも眼中に浮かぶ
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無歌の花に飲み込まれたシノ。彼女の脳裏に見たこともない像が直接流れ込む。無歌の根元にいる人物の記憶だろうか…。
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いくつもの仕事を掛け持ちしながら大学に入学し、必死に学費を払いながら学ぶ日々…図鑑だけでは分からない、真の植物学…私はのめり込んだわ。時間を忘れるほど学び、植物に触れ…気づくと私の後ろに学位が着いてきた。振り返る頃には、私は植物学の博士になっていたの。ただ好きな事に触れているだけなのに…とても有難い事ね。
ついに私は植物学の研究者として理事会で働く事になったの。多忙で大事な事も忘れてしまった…ただ働くだけの魔道装置の様な私に手紙が来たわ…
貴女の母親を見つけた。場所は…
仕事を投げ出して私は旅立ったの。お母様をお迎えする為に勉強して、お母様と暮らすために稼ごうとあれだけ誓ったのに…私は…
「私はなんて愚かなの…」
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「…分かります。すごく…怖いです。どんなに間違えない様にって気をつけても、犯してしまう失敗と後悔が…。でもそれがいつか答えをくれるって私、知ってるから…彼女を止めないで下さい!!」
シノの両手に水が集まり渦巻く。
集まった者達を次々飲み込んだ温室、突如ひとつの花から水が吹き出し、押し流した。そこには麗湖の紫を目に宿したシノが立っていた。
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無歌の花から解放され、園長の頭に這った根が枯れ落ちました。
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