再来の焔 窼主アグル
女王蜂
再来の焔 窼主アグル
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深い深い闇夜。月も星も沈む無の世界にふざけた様に舞う煙草の火。煙とダンスする。ひらり、ひらり…次第にこの雑なダンスに、間の抜けたダンスミュージックまで付き出した。あの聞き覚えのある、調子の狂った口笛…。やがて、ダンスはあっさりと終焉を迎えた。ぼとり地面に落とされジャリジャリと踏み潰すような音と共に…
「あははぁ…やぁやぁやぁ!帰ってきたよ、愛しのマダム?君はパッとしない本当に地味な街。でーも、俺の心を不思議と惹き付けるんだから…悪い子だ、キリエ。…だから、また俺みたいなヤクザが戻ってくるのを許しておくれよ」
無だった深い闇を突如2つの炎が照らした。両腕を大きく広げて、指にはめたふてぶてしい花炎石の指輪から轟々と炎を吹き出す大柄の男。
アグル。火炎を思わせる真っ赤な髪が毛先に進むにつれ、焦げたように黒く染っている。そんな不思議な髪に、溶岩で出来たかの様なギラギラと光を放つ目を持つ。高い身長に引き締まった肉体と、恵まれた体型。身なりはだらしなく無精髭を生やし、何処と無く近寄り難い…正に「ならず者」といった風貌である。
「ありがとうな、ニフ…そしてアキネ。お前らの情報がなかったらまたこうやってここに帰れなかった。なぁ、スノウ…そうか、懐かしいか。ここはお前の故郷でもあるもんな」
グルグルと深い声が聞こえた。豹のような大きさの引き締まった肉体に艶やかな黒毛、2本の尻尾を揺らめかせ、スノウと呼ばれた猫又はアグルの脚に擦り寄っていた。
サラサラ…こんな不審者など知らぬと、背後に広がる川はいつも通り水音をたてながら流れゆく。アグルは砂利道を進み、かつて暮らした愛しの窼へ進んで行くと、普段は治安が悪く行ってはならないと言われている商店街の裏道へうっかり進んでしまった貴方の足音が聞こえた。ばったりと出くわしてしまった貴方は暗闇と闇に佇む男に驚き声を失った。
「…へっ、なんだよ。俺が居なくて寂しかったってか?まさか帰って早々いい人材と巡り合わせてくれるなんて、粋な計らいじゃねぇか…」
アグルは貴方が逃げ出さないのを確認すると、煙草に火をつけ、ゆっくり近づいた。
「…よぉ、俺はアグル。昔この街に厄介になっててな。…ところでお前、ニフのところで仕事貰ってねぇか?そこもいいけどよ、俺の仕事も手伝ってくれねぇかな?ニフのところじゃ出来ないような仕事だ。…お前なら、やれる。俺も半神なんでね…憑神を見りゃ、大体の力量は分かんだよ。…さ、取引をしようか?」
そういうと、地図が書かれた紙を貴方の手に握らせた。じゃあ、信じて待ってるぜ?そう呟いて、深い闇夜に消えていった。
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新システム「アグルの窼」を解放します。詳しくは窼に貼られた説明サウンドをお読み下さい。
https://nana-music.com/communities/997761
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