表と裏の境 酒場主アキネ
DAYBREAK PRONTOLINE
表と裏の境 酒場主アキネ
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「一時なんか気が抜けてたのによぉ、なんかあったのかよ?アキネちゃん」
大きな腹を擦りながら常連の熊の獣人がアキネに声をかける。
「まっさかぁ!むしろ変化が欲しいくらいだっての!」
そりゃそうだ!とお互い笑ってやり過ごす。…いや、彼女は確かに瞳に以前の輝きを灯していた、自分の目的の為に情報を探っていたあの時のように…
「そうそう、そういやちょっとわっかんねぇ事があってよぉ…出張所のニフって奴の説明は分かりにくくていけねぇよ!」
「え?何なに?言ってご覧。賢い私が分かりやすく説明してあげるから」
ニヤリと笑いながらもちゃんと話を聞いて、説明をしだすアキネ。
アキネの酒場。ちょっとした会話や生活上の疑問、問題の相談、長い休店、この街を出ていく手配…様々なトラブルにも対応してくれる。そして、長らく旅を続けて学んでいった異国の料理や珍しい酒、美味しいカクテルも楽しめる、キリエで欠かせない住民憩いの場である。
旅で鍛えられた美的センスで飾られたハイセンスな店内に負けない存在感の美しい店主、銀髪のダークエルフ、アキネ。彼女の飾らない性格と垢抜けた軽快な会話が更に客を惹き付けている。
「ありがとう、また明日ね!」
店の客を見送り手を振った。静まる店内、カウンターに1人。短いため息と共に手紙を取り出した。…春の祭典のために警戒が手薄になった。キリエを探しても掴めないしっぽに痺れを切らし、多国籍の軍共はだいぶ縮小し、もう捜査は打ち切りを決定した。…あぁ、ついにアイツが帰ってくる。そして私も…。
バタン!閉店後の扉が来客を伝えた。
「ここから先はいつもの酒場じゃないよ?…分かってるよね?ここで出すのは酒と…仕事」
アキネは人差し指を唇に当てて微笑んだ。これから始まる世界の危険と高揚感で瞳がギラリと輝く。里から輩出された有能なアサシン、裏稼業の一員の時の鋭さを未だ失っていない事を示している…
「ねぇ君は何処まで力を示せる?何処まで着いてこれる?報酬はお金じゃない。…けど、これがあればアイツが動いてくれるから損なはないよ」
手に握られた真っ赤な石が血の様に生々しく、貴方を誘った。
「後は…窼が開くのを待つだけ…もう、この街についてる頃だと思うんだ」
さて…困った事はこの酒場の門をくぐればいい。いつだって美味い酒と共に話を聞いてくれる店主が貴方を待っている。表の時間なら、気兼ねなどしなくていい。しかし、もし欲しいものが彼女の持つそれならば…是非、彼女の依頼に挑戦して欲しい。報酬を持って裏世界の門を叩けば違う可能性が生まれる…かもしれない。
「お!いらっしゃーい。好きなところに座ってよ。何飲む?…んで、何かあったの?話聞くよー。ん?…ふふ、仕事?いつものあの道に流れてきてるかもよ?見つけたら…よろしくね。ようこそ、キリエともう一つのキリエへ…」
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NPC アキネより、心からメンバー様を歓迎致します。
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