特別短編「ミウラ屋4」(teru)
秘密結社 路地裏珈琲
特別短編「ミウラ屋4」(teru)
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「えーっとその......ちょっと言いづらいんだけど、こう、気性が荒い...違うな、まあ元気なときはいいんだけれど、何かの拍子にちょっと凹みがち...なんて可愛いもんでもないか。病み期が到来しちゃうっていうか」
「ずばり、一言で......?」
「躁鬱のけがある」
「マヂムリ病むってなっちゃうタイプ!?」
「そう......らしい」
なるほど分かりやすい。ありがちっちゃありがちだ、キャッチに運び屋に厨二気質といえば、まぁそりゃあちょっと、色々と難しい人であることは想像に容易い。悼と話して居てどうしてもそこの話だけ気になって仕方がなかった。だってどっちに振り切れて居たとしてもミウラの地雷を踏み抜いてしまったら心配だ、お互い平和に過ごしたいに決まってる。
ところでさっき、製菓材料の卸売業者から、輸送車の故障で荷物の配送が出来なくなったから、引き取りに来てくれないかと電話が入っていた。検品はテルにしかできないし、申し訳無いけれどここはバトンタッチするしかあるまい。いや、本当に申し訳ないと思っている、そう自分に言い聞かせ、テルもまたこのリレーから離脱して街に出てゆく。お土産は、おいしいチョコレートあたりだろうか。
次の生贄が数十分前のテルと同じ位置、同じ姿で、あっと声を上げた。
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