冬に備えて【Ryu】
くー
冬に備えて【Ryu】
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「Ryuさん、それは…」
移転届けだった。冷たい風が窓を揺らす…冬が近づいている…
Ryuには唯一の想い人がいる。キリエの街の何の変哲もない、人間の住民だった。門番をしつつ暇な時間歌を歌って過ごしていたが、ある日、その歌に合わさる声が聞こえるようになった。何度も歌う彼を見かけ、その声に惹かれた彼女は共に歌い、そして、いつしか2人は互いを思うようになった。
「あの人は?この街を出ていったらどうするんです?」
ニフは酷く悲しい顔で聞いた。動かないRyuの表情。酷く重い沈黙。堪らずニフは続けた。
「彼女はRyuさんが凱旋に赴く時でも毎日必ず門を訪れてました。この先、ずっと一緒に居ようと約束した日、あの子は泣きながら私に教えてくれたんです。どれだけ幸せで、それで…どんな時でも…それを信じてるか…」
ニフは今にも泣いてしまいそうに弱々しく思いを話す。
「もう彼女と連絡も取れないんだ。だから、代わりに伝えてくれ、ここを出るって」
「迷惑を掛けたと彼女は今でも後悔しています。でも、彼女は貴方が獣人でも、軍人でも、そしてユニコーンであるが故に男女の仲になれなくとも…貴方がなんであったとしても…全てを愛していましたよ!それなのに!!こんなのって…」
冬が来たからさ…小さく言い残し、その場を出ようとした。Ryuの肩を力いっぱい掴み、移転届けを胸に押し付けてニフは言った。
「あの言葉は彼女を喜ばすだけの嘘だったんですか?貴方自身は本当はどうしたいんですか?本当にもう、どうでもいいのか…今1度考えてください!彼女は今でもずっとRyuさん自身が帰るのを待ってるんですから」
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貴方の「冬支度」をしてください。
曲によって、貴方の今後が決まります。
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