【1〜2人用声劇台本】『心が凍えている』
台本.くらげ/読み手.募集中
【1〜2人用声劇台本】『心が凍えている』
- 136
- 5
- 0
女:抱きしめてよ、どうしてって顔してないで
寒いの。肌でもその下の肉でもなく心が凍えているの
男:読み取れるのかい、僕の表情を
女:聴き取れないわ、貴方の声
(間)
あは。くすぐったい
男:原因は定かじゃないが、僕の乗っていた船は沈んだ
船長のいびきの方がうるさいぐらいの、異音がした直後にね
救命ボートを降ろすのがやっとで、助かったのは寝ずの番をしていた二名の船員のみ
女:その内のひとりがあなただった
男:そう。片割れの男は言った、これからどうする
女:SOSのモールス信号 飛ばす無線も、飲食物もみんな海の底
男:殺して、食った。他に手がなかったから
女:ンフ。今じゃ腕だらけなのにね
男:とかく、僕は生き延びて、生き恥を晒してる
女:助けられて、陸(おか)に上がったら牢に入れられて
男:出されたと思ったらデッキブラシで体を磨かれて
女:引き出されたのは女王の御前
男:非常時ゆえ仕方ないことだったと恩赦を得た。視線はもらえなかった
男:それからだ。妙なデキモノが出だしたのは
あまりに痒いんで潰してやると全身に飛び火した
次第に体の自由が利かなくなり、代わりにデキモノを意のままに操れるようになった
『それは、妙ね』と言わせられる程度には
「『え。』驚愕の事実を告げられた女はパツリ、と爆ぜた。黄色く濁った膿を浴びて男はポツリと溢す」
男:抱きしめてよ、どうしてって顔してないで
寒いの。肌でもその下の肉でもなく心が凍えているの
Comment
No Comments Yet.