【一人用朗読台本】『映写機』（2/2）

台本.くらげ/朗読者.

#朗読台本 #くらげの台本 （1/2）↓ https://nana-music.com/sounds/0490f08d/ の続きです。この作品の取り扱い方は（1/2）と同じです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「死体は私どもの方で処理しておきます。あなたは映写機のレバーを回してください。すると映像が流れますから、それが終わるまで回してくだされば結構、無罪放免です」 どうやらこの機械はエイシャキ、映し出される動く絵はエイゾウというらしい。回し始めは暗い画面が続いたが、急に明るくなると見覚えのある顔が。随分と若返っているが、町中が世話になっている助産婦の婆さんとーー俺の両親のように見える。 まさか、と口についたのを男は聞き逃さなかった。 「お気づきになられましたか。現在上映中の映画フィルムには貴方の人生が収められています。但し、あなたがあの老人を殺めなければ、といったIFの世界での人生ですが……」 回し終わった頃には、俺の心は死んでいた。体も、ちょっと驚かされれば心臓が止まってしまうぐらいには弱ってる。記念です、と寄越されたフィルムを抱えて歩いていると、物陰にあの男が隠れているのが見えた。何やらタイミングをうかがっているらしい、という考えは意識外からの攻撃によって、人生ごと途絶された。 「あ、」あ、そういうことだったのか （fin）