【声劇・朗読】【台本】種まき少年と竜の少女 名前2 〜理由〜
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【声劇・朗読】【台本】種まき少年と竜の少女 名前2 〜理由〜
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「『 キトキ』」
「キトキ?」
「キトキはね、木と時って意味なんだよ。木は君の育ての親であるこの木。時っていうのはね、僕が昔住んでいた国の言い伝えからとったんだ」
「僕の国ではね、竜は時と時をつなぐ存在なんだ。過去、現在、未来を繋いでくれるもの。そこからあの世とこの世を繋いで、もう二度と出会えない人にも会わせてくれるって信じられていたんだ」
「二度と出会えない人に会わせてくれるということは、普通だったら見つけられないものも、見つけることができるということ。君の探し物が見つかるようにと願いを込めて……」
キトキという名前が良いなと思ったんだ、とシードは笑った。少女はシードの弁解を静かに聞いていた。しかし話が終わると少女は下を向いた。
「気に入らないのなら、別の名前でいいんだよ。僕が決めた名前じゃなくても……」
「キトキがいい」
少女は顔をあげて笑った。少女の顔に花が咲いた。
この瞬間、少女はキトキになった。
三作目です。
『種まき少年と竜の少女』の続編です。
二作目の続き。「キトキ」という名前を提案したシード。名前に込めた思いと願い。そして少女がキトキになるシーンです。
ここで、「名前」は終わりです。
今回もBGMは設定していません。
アドリブもどうぞ!
ご使用の際は拍手か一言よろしくお願いします。
この台本を素敵なものにしていってください。
手に取って下さった皆さんには心から感謝申し上げます。
いつも私に意見をくれる友人、そしてぴぴさん、本当にありがとうございます。
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