幻想月華クリスマス企画サウンド②
時雨村雨ver
幻想月華クリスマス企画サウンド②
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#声劇 #幻想月華 #イヤホンヘッドホン推進 #クリスマス
皆さん!メリークリスマスฅ^•ﻌ•^ฅ
クリスマス企画サウンド2作目、お待たせしました!
今回は団長の友人に依頼をして急遽編集していただきました(*´꒳`*)
過密スケジュールでごめんよメンバーのみんな…
さて!今回のサウンドはまだ本編に登場したばかりで謎多きキャラクター『時雨』と、その従者の『村雨健』のお話となっております!
本編の雰囲気とはまた違う、ほんわかしたやりとりをどうぞお楽しみください(*´╰╯`๓)♬
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今にも雪が降り出しそうな寒々しい空の下。
都から少し離れた場所にある大邸宅でも、クリスマスを楽しんでいる人がいるようで……。
(時雨)「ねぇー、村雨ー」
(村雨)「時雨様。どうされましたか?」
ひょこっ、とまだあどけなさが残る少年が台所に顔を出す。
時雨と呼ばれた少年は、この広大な屋敷を統べる当主であり、真白たちと深い関わりがあるのだが……それはまた別の話。
少年のような姿をしているとはいえ、当主は当主。
本来ならば台所になど立ち入ることはできないはずなのだが、時雨の部下である村雨は、上司の奔放さにすっかり慣れている様子がうかがえる。
(時雨)「今日ってクリスマスだろ? ケーキとチキン食べたい。あとあのシュワシュワしたやつ飲みたい」
それを聞いた村雨は肺の中の空気をすべて吐き出す勢いでため息をつくと、大きめの寸胴をかき回していたおたまを置いて振り返る。
(村雨)「はぁぁぁ……時雨様……先にお仕事を終わらせてから、と何度も何度もな・ん・ど・も! 申し上げたじゃないですか!?」
(時雨)「……だぁってすげー美味そうなにおいするんだもん。村雨、一口味見」
(村雨)「だーめーでーす!! 俺が先に食べちゃいますよ!? ケーキもチキンもシュワシュワも、みんな食べちゃいますからね!?」
(時雨)「わ、わかったわかった!! ……村雨の鬼畜ぅー」
(村雨)「鬼畜で結構です。じゃあ俺仕事に戻りますね」
村雨の腰からやっと両手が離れ、おたまを手に取ろうと……。
(時雨)「あ、待て!」
(村雨)「え、は、はいっ」
いきなり呼び止められ、村雨は反射的に身体を固くする。
何を言われるのかと一瞬不安になるが、それは次の時雨の言葉でかき消された。
(時雨)「あー……っと、……これお前にやるっ!!!」
(村雨)「うおっ!? こ、これは……?」
村雨に叩きつけられたのは拳3つ分ほどの大きさの箱だった。
大きさの割にはずっしりと重たい。
(村雨)「……開けてもいいですか?」
(時雨)「……ん」
(村雨)「……これ……刀用の砥石じゃないですか」
(時雨)「お前の刀、両親の形見なんだろ? ……大切にしろよ」
そっぽを向いて照れくさそうにぽつぽつとしゃべる上司を見て、村雨の胸に熱いものがこみ上げる。
(村雨)「あ、ありがとうございます! でも俺時雨様に何も……」
(時雨)「何もいらない。そのかわり、これからもぼくと一緒にいろ」
(村雨)「時雨様……! 俺の剣はあなたのためにある。最期まで、お仕えします」
時雨は、あげた砥石を大事そうに抱えて微笑む自分の部下を見て、自分も頬を緩めた。
……が、しばらくして村雨のどこまでもまっすぐな視線に照れくささを耐えきれなくなったのか、
(時雨)「……お、お腹減ったなぁー! よし! つまみ食いだ〜!」
(村雨)「あ、こら! 仕事が先ですよ時雨様ぁ!」
素直になれない上司とそれを追いかける部下はいつもと変わらないのに、今日はなぜかその騒がしい足音でさえも、やわらかい丸みを帯びてきこえた。
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