奥州小心の團十郎
ナレーション【】 台本 とりとりとり
奥州小心の團十郎
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時代劇風台本
ある小心者の哀しき一幕でございます。
地名以外はフィクションです。
時代考証等、あやふやな部分はあるかと思いますががフィクションゆえ、どうかご容赦願います。
ご自由に使用ください。使用の際は拍手いただけると幸いです。無断転用はお控えください。
奥州小心の團十郎(其の一)
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これは、奥州萩原(おうしゅうはぎわら)氏が、北の雄として権力と共に、文化に栄華(えいが)を誇った時代より少し後、庚申(こうしん)の乱の前夜。嵐の前の静けさが、京の都に訪れていた頃の話である。
奥州は平泉(ひらいずみ)、北上川(きたかみがわ)の向こうに見える、束稲山(たばしねやま)の麓(ふもと)に、その男はいた。
日々、何をする訳でもなく、陽(ひ)の明るい内から、酒に次ぐ酒。まさに昼行灯(ひるあんどん)、名を萩原團十郎(はぎわらのだんじゅうろう)という。
この男、昼夜(ちゅうや)酒ばかりに浸っているが、訳があった。素面(しらふ)では刀など、恐ろしくて握ることも出来ない、小心者なのである。
かつては、上北城(かみきたじょう)の剣術指南役でもあり、凄まじい太刀(たち)さばきで、下手人(げしゅにん)を何人も斬ってきた、伝説の侍である。
そんな團十郎。いまはここ、平泉、束稲山(たばしねやま)で酒を浴び、湯に浸かるという、隠遁(いんとん)生活を送っていた。
とはいえ齢(よわい)三十五。まだまだ隠居する歳でもない。このような生活を送っていることを、紐(ひも)解くには、ある哀しい出来事を、語らねばならない。
(其の二へ、続く)
BGMは青さん提供、和風BGM~夜桜~です。青さん、ありがとうございました。
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