ハッピーシンセサイザ
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ハッピーシンセサイザ
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#恋してマーメイド #声劇 #お魚さん
🐟スペシャルアフターライブその③🐟
【ハッピーシンセサイザ】by笠子、宮理
🐳「えっ宮理ねえ!?聞いてないよ!?」
⛵️「は!?笠子先生参戦!?サプライズすぎないか!?」
素敵なご本家様
『ハッピーシンセサイザ』
https://youtu.be/poiZSEjQBgw?si=jLLNm1T8rNrLRIq8
お借りした伴奏の作成者様
ちび🐾様
https://nana-music.com/sounds/04dd3c34
【キャスト一覧】
(敬称略)
🐚濱宮理(はま ぐり)cv.nagi
〔 https://nana-music.com/users/2014957 〕
🐠 三野笠子(みの かさこ)cv.おたけ
〔 https://nana-music.com/users/1276899 〕
『飾らない言葉で伝えたいもの』
『先生』という言葉にはどんな意味があるだろうか。
この問いに対して普通であれば、教師と同じ意味、何かを人に教える役割の人、なんて答えるだろう。
だけど、私にとってこの言葉は、この肩書きは、もっと深い意味があるように思う。
それを教えてくれたのは、『彼女』と、そして…
「笠子先生?」
「…んあ?」
呼ばれてハッとなる。まずい、作業中だったな。裁縫中なのにボーっとしてしまうなんて危ない危ない。
「やっぱりお仕事の合間ぬってだし…疲れてるんじゃないですか?わたしにもっと…」
「いや、私がやりたいんだ。やらせてくれ。こちらこそ忙しい中OBとしてありがとうな濱。」
「いえいえ。わたしも楽しいので。」
なぜ卒業したはずの濱が私の資材室にいるかというと…話は1週間前に遡る。
「笠子先生、文化祭のステージに出ませんか?」
「ふぁ?」
放課後、コーヒーを飲みながら次の魚油絵は何を描くかを考えていたら何故か濱がやってきた。おかしいなこいつ卒業してたよな??
「ステージって…あの毎年恒例学食一年無料のやつか?」
「そうですそうです!海月が今年はいつもよりも盛り上げたいからサプライズゲストにぜひ、って。」
「ステージねえ…」
現役時代もこのステージの話はあったがまさか教師になってもなお話がくるとは…
「でも、先生の私がでても…」
「違いますよ先生、『先生』だからこそですよ。」
「ほう?」
「『先生』だからこそ、生徒がより親しみを持ちやすくなりますし。一緒に楽しんでくれる先生ってなんだか素敵じゃないですか?」
『先生』だからこそ。なるほど一理ある。さすがは歴代トップクラスの支持を得た元会長。
「それに…わたし自身が、わたしを救ってくれた笠子先生と一緒にパフォーマンスできたら嬉しいなあ、なんて…」
「…まだ、あの言葉、覚えてたのか。」
「笠子先生はわたしを導いてくれた大切で、大好きな先生ですからね!」
…あの時の濱と比べてこの子も色々なことを経験して強くなったんだな。
ま、可愛い教え子達の頼みだ。こうなったら…
「よっし、やるしかないな!!やるからにはいっそ優勝目指すぞ!」
「やった!頑張りましょうね!」
…なんて感じで話がとんとん拍子にすすみ、衣装作りにというわけだ。
「…笠子先生はなんでこの曲でパフォーマンスしたいって思ったんですか?」
「そうだねえ…」
そう、今回パフォーマンスの曲は私がわがままを言わせてもらった。
どうしても、伝えたいことがあったから。
「可愛い教え子達に、エールを送るためかな。」
「…素敵ですね。」
「濱も、しっかり頼むぞー?」
「うふふ、もちろん♡」
これは、私のリベンジのためでもあるんだ。
学生時代のあの日の。
バタバタと慌ただしく日々は過ぎ去り、あっという間に文化祭当日になった。
「あらー今年の盛り上がりはすごいですね〜」
「どうやら今年から学食無料に加えてあのキャビアタルタルの予約権がついたらしいからな。そりゃあみんな必死にもなるだろう。」
毎日数量限定、あの幻の学食が確実に食べれらるとなればこのエントリーの多さにも頷ける。若干私も欲しいし。
「うふふ〜くーちゃんが司会だなんてなんだか可愛いわ〜魚子ちゃん達のステージも初々しくて可愛かったし、海月と雨がまさか一緒に歌うなんて…も〜!みんな可愛い〜!」
「しかしサプライズゲストとはいえまさかトリを任されるとは…三頭もやってくれるな…」
この予期せぬ会長副会長パフォーマンスの盛り上がりの後にこんな可愛い衣装で私がパフォーマンスしてしらけないだろうか…?
今更ながらちょっと不安になってきたぞ…
「先生、大丈夫ですよ!だって女の子はいつまでもアイドルなんですから♡わたし達も学生に戻ったつもりで頑張りましょ?」
…本当に濱は人を導くのが上手いというか慣れているというか…さすがはスーパースゴヒレ会長様…
「よーし!いっちょやるか!行くぞ濱!」
「はーい!」
そうして私たちは勢いよくステージに飛び出す。
「サプライズゲストのお出ましだー!!」
「みんなー!よろしくねー!」
「「ふぁっ!?」」
会場だけでなく司会の二人まで狼狽えているがさては三頭、あいつらにまでサプライズにしてたな?
そんなことを考えていたら三頭がステージ袖からひょっこりと顔を出し、ノミのマイクを奪い取る。
「…えー…サプライズゲストの笠子先生と前生徒会長の濱宮理先輩によるスーパーパフォーマンスです。みんな、刮目するんだぎょ。では。」
「副会長!?」
…三頭もなんか良い意味で吹っ切れたなあ…
ま、まあ、任されたからには…私はマイクを持ち、みんなの前に歩み出る
「パフォーマンスの前に、一つ先生からみんなに。」
そう…今日はこれをみんなに伝えたくてこの場所に立ったんだ。
ステージから見える景色は、『あの日』と変わらずキラキラ輝く珊瑚礁のように綺麗だ。
「青春って、甘いだけじゃない。苦しいことも、泣きたくなることもあるかもしれない。だけどさ、この時間は今しかないんだ。だから、先生から1つ言わせてくれ。」
あの時は大切なあの人にだったけど、今日は先生として、伝える!
「自分の気持ちに嘘をつくな!飾らない言葉で自分を伝えるんだ!青春万歳だ若魚よ!私達からのエールを受け取れ!!」
「「「わー!!笠子先生ー!」」」
会場が一気に盛り上がる。さあ、本番だ。
全部私達が掻っ攫っていくぞ!
________________________
🐚 宮理 🐠 笠子🎵一緒
🎵ハッピーシンセサイザ 君の 胸の奥まで
届くようなメロディ 奏でるよ
🐚儚く散った淡い片思い
笑い話だね 今となれば
🐠見る物全て 輝いて見えた
あの日々がキレイに 笑ってるよ
🐚我慢する事だけ 覚えなきゃいけないの?
「大人になって頂戴ね?」 ならなくていいよ
🐠知らない事ばかり 知らないなんて言えなくて
「大変お似合いで」 ウソついてゴメンね
🎵ハッピーシンセサイザ 君の 胸の奥まで
🐚届くようなメロディ 奏でるよ
🎵つまらない「たてまえ」や ヤな事全部
🐠消してあげるから この音で
🐚何の取り柄も無い 僕に唯一つ
少しだけど 出来る事
🐠心躍らせる 飾らない 言葉
電子音で伝えるよ
_____________________
「うーっす、久しぶり濱。」
「あら笠子先生!お久しぶりです!」
カランカランと音を鳴らしながら可愛らしい扉を開けるとキッチンでパタパタと動き回る濱がいた。
「今回はどちらに行ってきたんですか?」
「ナイアガラの滝上りツアーで鯉の気分を味わってきた!これは良い作品が描けそうだ…」
「あらそれはダイナミックな作品が描けそう!楽しみにしていますね♡」
私は今、美術教師のを辞した後ある約束を果たしたくて世界中を旅している。
その時得たインスピレーションを作品にしてみたところ…まさかの人気がでてしまい、今やさすらいのスーパーお魚画伯なんて謎の2つ名がついてしまった。
今日は旅の合間に濱が経営しているカフェに顔を出しに来たのだ。
「濱もすごいな…研究も軌道にのったみたいだしカフェの方は今や予約のなかなかとれない名店なんて言われているじゃないか。」
「うふふ、わたしは好きなことをしているだけなのでありがたい限りです〜」
大学の海洋学部を卒業後、濱は海洋プランクトンから食料を作り出す研究に勤しむ傍ら、その作り出したスイーツを味わえるカフェを経営しているのだ。
これがインスタギョラムで映えると大人気に。
研究なんてハードワークをこなしながら経営なんてやはりこいつはスーパー『お魚さん(マーメイド)』だな…
「先生、って呼び方ももうされていいのかなんともいえないな。辞めてもうしばらく経つし。」
「あら、わたし達にとって、先生はいつまでも先生ですよ?だって…」
「だって?」
少し恥ずかしそうに先の言葉を言い淀む濱。なんか珍しいな。
「『先生』っていうのは先に生きる者。教えるだけじゃなくて、先に生きてきた者として後から着いてくる者達を導く者、そんな意味もあるそうなんです。」
「ほう、そういう捉え方もあるのか。」
「笠子先生は、わたしを救って、導いてくれたから。だから先生はずっとわたしの先生です。」
えへへ、と少し恥ずかしそうに笑った彼女の顔は、どこかあの日の面影を感じた。
だけど、もうそこに涙はなかった。
「先に生きる者、か。いいな、それ。私もそんな人がいるからさ…」
そんな話をきいていたら自分自身のあの約束を思い出した。
「え?ええ?笠子先生…その顔、もしかして…?」
「あっ、いや、違うぞ!?なんでもないからな!?」
「ええー!?教えてくださいよおー!」
…先生として、私はこの子達に何か残せたならそれはとても幸せなことだ。憧れの、あの人のようになれただろうか。
「…絶対、見つけてみせるからね、先生。」
「ん?何か言いましたか?笠子先生?」
「いや、何でもないさ。あ、スノーマウンテンブレンド1つ頼む!」
「はーい!」
あのエールは自分自身へのエールでもあったのかもしれない。なら、今の自分がやるべきは…『飾らない言葉で伝えるだけ』
『先生』を見つけるまでまだ私の旅は続きそうだ。
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