花と水飴、最終電車
n-buna
花と水飴、最終電車
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老年期:🚃花と水飴、最終電車─Vo.冬猫
https://nana-music.com/users/5429105
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🚃Lyric
晴れた雲を見ていた
昨日夜空に重ねた青を
浅く影に隠れた
君の描いた空が消えない
忘れたら 君はいなくなるから
揺らいだ昨日を思い出せ
あの夏に いつか届いたのなら
昨日に遠い 遠い 花束
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🚃Story
病院の庭で孫たちが縄跳びの練習をしている。一番上の子は上手に二重跳びが出来るようだけれど、一番下の子は今年小学校に入ったばかりで、縄跳び自体が上手く出来ないようだった。
「あらあら、泣き出しちゃったわね」
『あいつはすぐ泣くからいけないんだ』
「そんなこと言っちゃダメでしょ」
『だって、あれくらいの歳の頃、夜子は滅多に泣かなかったじゃないか』
机の上に開かれた青い本が、得意げにそう零す。個性を比べるものじゃないと説教をしつつ、自分でも覚えていない幼い頃の様子を、本がまるで昨日のことのようにスラスラと話すさまが嬉しくて、幸せで、思わず微笑んでしまった。
『おやおや、笑顔になった』
『夜子の笑った顔はいいね。幸せな気分になるね』
『うん、本当に』
わらわらと賑やかに声を交わす住人たちに相槌を返しながら、夜子はゆっくりと深呼吸をする。もう思い残すことは無いな。ふと、そんな思いがふわりと胸に浮かんだ。きっともう、夜子が昇って行く時は近いのだろう。
「ああ、幸せだった」
何気なく呟いた一言は、確かなあたたかさをもって、部屋の中にしっかりと響いた。
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🚃Tag
#Happy_LIFE_22 #花と水飴最終電車 #ナブナ #nbuna
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