歌う睡蓮
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歌う睡蓮
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壮年期:🧜♀️歌う睡蓮─Vo.日向ひなの
https://nana-music.com/users/2284271
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🧜♀️Lyric
夕暮れの校舎裏側
僕は一人そこで惑っていた
ただ彼女は歌っていた
掠れるセイレーン
まるで映画みたいな原風景には
歌を歌ってる君と三半規管、揺さぶる酩酊
心臓に杭を打たれたような彩度の
彼女の声だけ耳に残って揺れた
「ららら」
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🧜♀️Story
「おかーさーん!!」
「見て!綺麗な貝殻!」
海沿いではしゃぐ双子は、互いに競うようにして砂浜を蹴っていく。夜子はそんな彼女たちを見つめながら、水筒の麦茶を一気に飲み干した。
「待ってよ。お母さんそんなに速く走れない」
いつの間にか染み付いたこの一人称も、少しも言うことを聞いてくれない古びた足も、自分がもう若くはないことを示していたけれど、夜子の心は学生時代から変わらぬ輝きを保ち続けていた。かわいい二つの命を追いかけて、文句を言いつつ平穏に過ごす日々が、夜子は大好きだった。
「お洋服、水で汚さないでね。舞雪おばさんに笑われちゃうよ」
「舞雪おばさんはそんなことで笑わないもん」
「そうだよ。本も言ってたもん」
「ちょっと!その話はお母さんには内緒ー!」
片割れが興奮して発した言葉を、もう片方が慌てて止める。夜子は柔らかく微笑むと、わざと気づかない振りをして首を傾げた。
「本って? 」
「え、えっとね、お母さんには秘密!」
「意地悪じゃないよ!必要な、秘密!」
きっと、あの本はまた約束をしたんだろう。僕たちと話が出来ることは、子どもたちだけの秘密だと。かつて幼い少女だった夜子には、その秘密の価値がよく分かっていた。同時に、子どもたちが自分を傷つけないように、精一杯優しい言葉を選んでくれたことも。
「分かった。お母さんには内緒にしないといけないことなんだね」
「うん。ごめんね」
「いいよ。自分たちでそうやって考えられるのは、大切なこと」
そう言って双子の頭を撫でてやると、二人はそれぞれ照れくさそうにはにかんだのだった。
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🧜♀️Tag
#Happy_LIFE_22 #月を歩いている #歌う睡蓮 #ナブナ
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