【声劇台本】ステラリウムで星を編む
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【声劇台本】ステラリウムで星を編む
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入口も出口もない塔の図書館。鍵のかかった小さな天窓が、ふたつの生き物のために星空を注ぐだけの話
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β「(小さな欠伸)…もしかして待ってた?」
π「ふふ、読み終わった?」
β「……夜更かしは身体に良くないって、いつも」
π「そうね、でもきみが世界を解いている間、それを待つのが楽しみで」
β「止めなかったって訳か」
π「だって。惹かれてしまうのは本能よりずっと太古の、星の巡りみたいなものだから。ねえそれ面白かった?」
β「このあと自分で読むくせに」
π「きみと私の擦り合わせさ」
β「出た出た」
π「きみのことが好きだから、知りたい。
きみから見た世界で私のセカイをなぞる」
β「それ、無理じゃない?」
π「でも、何が愛おしくて、何が私達に傷を付けて……どう触れたくなるか。意識するでしょう?」
β「君の独り善がりだよ」
π「厭う 死 異世界を 君に 海星 手、」
β「あらら、キャパオーバー」(異常そうな気配を察知して事も無げに)
π「手、…を」
β「はい、握りました」(と言って手を握る)
π「……?ああ、そう。あの星は」(なんの前触れもなく元に戻る)
β「シリウス。知ってるでしょ」
π「えへへ、きみの口から聞きたくて。発音まで好きだから」
π「明日も本を読んで、それを伝えてくれる?」
β「うん、明日もそれを声に出して。形にしてくれる?」
「ほんもののせかいに いきたい」
「ね、」
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死ぬまで本をよんで、ここに篭っていよう。
だって、人は死んだらお星様になってしまうから。
ここを出る時まで、
いつか何光年か先、その星は人間に憧れた
π…星の向こうから手を振った。
豊かな感情と、妙に響く声と、綺麗な動作を持っている。人間のβに憧れて、βの表現を出力したがる。もう生きていないかもしれない。朗読担当。ひとではない。
β…星を追い掛けてその手を繋いだ。
暖かい体温と、小さな声と、誰も知らない記憶を持っている。人間だったπを取り戻したくて、πの記憶を表現したがる。まだ生きていると思う。解読担当。ひとでいたい。
・これはなんですか?作者も分かりません。
それぞれ知っているものの枠に填めて押し込んだらなにかの形になります。
・振り分けのない台詞は読みたい側が読みたいだけ読めます。先に奪ったもん勝ちですし、先に残したもん勝ちにもなります。
・読めないセリフは読めないなぁと思ってください。愛おしい世界を君に見せて
・復帰作に当たる作品なのに恐ろしいほど奇作だなぁとおもいます。味付けは全て皆様にお任せします。
#四ノ宮りゐオリジナル ←お借りしました
#卯木の台本
Comment
2commnets
- Saya。素敵な台本お借りしました。 優しい時間をありがとうございます。
- 帰朝 繹素敵な作品に心踊りました。 お借りします。