Stella
Fling Posse
Stella
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Color-less #今鍋公式
Stella〈転〉
車内を照らしていた灯りが落ち、車体が揺れる。予定になかった停車の慣性で身体が座席から落ちかけた。既のところで珪素の盗賊が服を引っ掴み、剣の王が腕を伸ばし押し戻してくれた。蒸気機関も止まってしまったらしく、外側の事象だったはずの静けさと暗闇が容赦なく押し寄せてきた。
「おい、出るぞ」
舌打ちをしながら立ち上がった盗賊は早くしろと言わんばかりにこちらを見てくる。彼の中で着いてくることは確定しているらしい。
開いたままの扉からは冷気が漂う。気泡で白く濁った地面は分厚い氷で出来ているようだ。宙を見上げると幾つもの金属がまるで探知機のように星を取り囲んでいる。小さな星には建物がひとつ。
そこには科学者を名乗る者がひとり。
「遥々ようこそ、速やかに帰ってくれ」
「此方とてそうしたいのだが、箱舟が止まってしまったのだ」
「俺は退屈が嫌いなんだ、動くまで話し相手になってくれよ」
科学者はとある研究をしていると言う。老いが邪魔なので取り除いた。倫理を説く星の民が邪魔なので星を出た。愛が邪魔なので心を揺らがせるものを氷の下へ埋めた。
「お前はそれでいいのか」
「良い悪いを問答する段階は既に越えてしまった」
「そんなことは聞いてない。学者様は会話の仕方も捨てちまったのか?」
「……枯れた命は芽吹かない。国も帰り道も情も捨てた私に夢を見る権利などない。何もかも、もう遅いんだよ」
科学者は嘆きを押し潰すように俯き顔を覆う。
「ならばそなたもここを発つべきだ」
列車のエンジンが再起動した。
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🌫遥々ご苦労なこと大層な話だね
🌳氷に覆われたここで生命は私だけ
🌫研究は気が付けば人の道を外れた
🌳誰が為かも忘れた紙屑のようなラブレター
🌳迷宮の果てにあるマテリアル
永久を糧に咲く白いカメリア
真理の前には倫理の叫びなど枷になる
🌫追い求めたくて老いを止めた
恋い焦がれた命の欠片 全ては白昼夢
もう遅いんだよと慟哭する Nocturne
🌫再生の Verse
🌳流星に手を伸ばす
📚始まりが連なるユニバース
🌳繋いでいく未来 with the ending in mind
🌫揺るぎない一つの星が deep inside
🌫何度だって繰り返す
🌳軌道に沿って踏み出す
📚いつまでも reincarnation
偽りの無い shooting star
宙に舞う "Stella by Starlight"
軌跡は歪な方が Luminous
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