分岐ルート レオ
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分岐ルート レオ
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#星詠みの詩
【レオ】
街の人たちを避難させている間、俺はずっと空腹と戦っていた。んなこと考えてる場合じゃないんだけどさ、空腹の度合いが「腹が減った」っていうあの感覚とは違うような気がしてならないんだ。
何かを口にしても満たされないような、決して潤うことのない乾きのような。
単純に腹が減って、美味いものを口にしたいという感覚よりはああいう感覚に近いのかもしれない。
『獣が血肉に飢えている』
その餓えに気を取られてうっかり街の人にケガをさせてしまわないよう、気を付けることが精いっぱいだった。
・・ ・・・・・・・・・・・・
一体、俺の体に何が起こっている?
人間が星詠み、すなわち神様になるにあたって、星の子の力を得るがゆえに一時的に星詠みの体に何かしらの異常が起こるなんてことをうっすら聞いたことがあるが、こんなに長引くものなのか?
気になることはそれだけじゃない。街の人たちが言っていた言葉も引っかかる。
300年前も、街が沈むほどの大雨が何日も続いたこと。そして、それを止めるためには生贄が必要だって。
……じゃあ、前回の大雨は「誰かが犠牲になって止んだ」のか?
わからないことだらけで、頭が混乱しそうだ。ペルはそのことについて話したりするような奴じゃねえし、万が一自分にとって不利なことや話したくないことがあったとしたら、ひた隠しにするような奴だ。なにか見逃している情報があるのかもしれねえ。
他の星詠みたちは、どんな情報を掴んでいるんだろうか。
それにしても、ヴァルゴはどこに行ったんだ?
……くそ、また腹が減ってきた。こんなんじゃ、ヴァルゴの足引っ張ってばっかだ。なんとかしねぇと。
乾きがひどくなるにつれて強くなる、苛立ちと、焦燥感。
ずっとずっと、俺は何かに飢えている。何かを欲している。
それでも、任務は、遂行しないといけない。耐えがたい空腹をこらえながら、ペルセフォネとヴァルゴを探す。
ヴァルゴが向かった図書館の近くを通りかかったとき、ふと、花のような、甘い蜜に似た香りが鼻をくすぐった。
このあたりにヴァルゴがいるのかもしれない。
そう思った次の瞬間
《 う ま そ う 》
俺の頭の中に、知らない声が響く。ふと、目の前が真っ暗になり、体の感覚も失われてしまった。
ただ、一つだけ、生温くて鉄臭い味だけが、口の中に残っている。
何が起こったのか理解ができぬままはっと目を開くと、俺はペルセフォネの腕に噛みついていた。
「……!?わり……ペルセフォネ」
よくわからないが、瞬時にペルセフォネと距離を置く。白く細い腕にはくっきりと歯形が残り、血が滲んでいた。
「アタシはいいのよ。この程度、すぐに治るわ」
「ペルセフォネ……ごめん、私をかばったりしたから」
ペルセフォネを見上げるヴァルゴの瞳には、恐怖の色が浮かんでいた。
……一体、何が起きたんだ?
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【レオに求められる選択】
どうやら、あなたはあの一瞬の間にペルセフォネの腕に噛みつき、傷つけてしまったようです。
あなたは、意図的ではなかったとはいえ、自分が意識を手放した一瞬のうちに仲間を傷つけてしまったことを後悔しています。原因がわからない以上、今後もヴァルゴやペルセフォネを危険にさらすのではないかと焦ることでしょう。
そんなレオに、ペルセフォネはこう提案します。
① ペルセフォネ、ヴァルゴと距離を置く選択をする
② 一時的に星の力を封じた状態で、二人のそばにいる選択をする
どちらかを選びなさい。アタシたちはそれに従うわ。
🎶「Flutter」かずち様
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