だれかの心臓になれたなら
❤️🔥pair/ユリイ・カノン
だれかの心臓になれたなら
- 52
- 6
- 0
生を扱う者/死を扱う者
❤️🔥
💉醫 碧祈(くすし あおい)
⚰️紫雲 優李(しうん すぐり)
⚰️「こんな世界」と嘆くだれかの
💉生きる理由になれるでしょうか
💉これは僕が ⚰️いま君に贈る
❤️🔥最初で最期の愛の言葉だ
💉街も人も歪み出した 化け物だと気付いたんだ
欲動に巣食った愚かさも 全てがこの目に映る
❤️🔥シアトリカルに手の上で 誰も彼も踊らされる
⚰️生まれた意味だって知らぬまま
形骸化した夢は錆びついてしまった
⚰️「愛をください」
きっとだれもがそう願った
💉「愛をください」
そっと震えた手を取って
❤️🔥「愛をください」
心を抉る 醜いくらいに美しい愛を
💉「こんな世界」と嘆くだれかの
⚰️生きる理由になれるでしょうか
⚰️いつか終わると気付いた日から
死へと秒を読む心臓だ
💉ねえ このまま雨に溺れて
藍に融けたって構わないから
❤️🔥どうか どうか またあの日のように
傘を差し出し笑ってみせてよ
ーーーーーーーーーーーーーーー
❤️🔥SS
事の発端は、緊急オペで入院していた身寄りのない子供の話。
そんな子が、亡くなったことから始まった。
「この子の主治医をしていた、醫 碧祈です。
貴方が、今回の葬儀屋さんなのですね」
と、白衣を身に纏った小学生のような人物が呟く。
「よろしくお願いします。
俺が、紫雲優李です。
この度は、お悔やみ申し上げます。」
と、礼服に相応しい黒スーツを着こなし、眼帯をした男が返答する。
葬儀の日程を…と、カバンから書類を出す。
死者の名前は、愛。
身寄りがないと言うよりも、実の親からのネグレクトによって養護施設に移されたこと。
施設を出る誕生日前夜に、この世を去ろうとしたこと。
そして、この病院に運び込まれたこと。
他にも日取りや葬儀の進行や、参列数などを事細かに帳尻合わせていく。
ふと、目の前の医者に視線を送る。
その視線に気づいたのか、皮肉ですよねと軽口を叩く。
愛情を注いでもらえると願い、この世に生を為した。
だが、実際は愛は微塵も注げられず、傷が増えてゆく。
最後に、この子の名前を呼んだのは、医者である私と常勤の看護師だけだったんですよ…と。
確かに、皮肉な話だ。
愛…だなんて、万人に愛される名前を授かったのに。
その手で撫でられるのではなく、殴られる。
頭の隅で考えながら、日取りが決まったのでそのまま他愛もない話をする。
生きようとしている者に手を差し伸べ、助けるのが医者の確固たる信念です。
しかし、体の機能が止まれば、畑違いです。
ならば俺は、と付け加える。
その畑違いを耕すの…と死んだ者に手解きをし、悔いのないように送るのが…葬儀屋の信念…になりますね。
愛という名前は、炎に焼かれれば灰となる。
END
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
Tag
#PairBuddy
#醫碧祈
#紫雲優李
soundTag
#だれかの心臓になれたなら
#ユリイカノン
Comment
No Comments Yet.