キリエを歩く【ミルクハニー】
くー
キリエを歩く【ミルクハニー】
- 10
- 0
- 0
今日はありがたいことに早々と商品が売り切れた。きっと冬を前に皆、入用なのだろう…。もう夜が日に日に早くなる。でも今日は何とか明るいうちに帰れそうだ。
「…ふぁぁあ!…眠い…うーー。帰ろうかな…ダメダメ!!冬眠の前に買い物済ませないとぉお!」
背伸びをしながら呟く。気持ちよく背を伸ばすとうっかり大声が出てしまった。あはは!ミルクハニーの明るい声が少し冷える蜂蜜屋に響いた。
獣人は寒さに弱い。そして更にその数種は特に冷え込む数日間だけ目を覚ます事はない。己に流れる血の習慣が種族を支配するのだろう。寒いと…眠いのだ。
夕焼け染まる商店街、その一軒一軒から冬眠に必要な雑貨や食料を買い込む。自分の店に戻り、洗った瓶や樽を買い込んだ品と共に荷台に詰め込むと、小屋をたたんで世界樹へと歩き出した。
赤くキラキラした世界…アロニアの蜂蜜のように美しい。ミルクハニーは鼻歌を歌いながら歩いて行く。さよならキリエ。目覚めたらまた、蜂蜜を持ってくるからね!
キリエの街を抜ける手前、もう世界樹の森の木々が迫る門の前、誰かが立っている…。 さよならに少し心が寂しくなったミルクハニーは今年最後の挨拶にその人へと声をかけた。
‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦
クエストにお付き合い頂き、心から感謝致します。貴女の蜂蜜はこの街にどれだけの幸せを運びましたか?
是非、貴女の答えを教えてください。その歌声にのせて…
Comment
No Comments Yet.