カートニアゴ
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カートニアゴ
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▶▶重い足元に 嫌に伸びた影
「ああぁぁぁ……リュヌさんどこですかぁ……」
ジェーンは半泣きで屋敷をさ迷っていた。
今迷い込んでいるのは芸術品の所蔵庫のような所だった。顔色の悪い男の肖像画に大きな猫のような動物の毛皮、赤黒い染みの付いたドレスなど気味の悪いものが並んでいる。翼を広げた首の欠けた鳥の彫像が蝋燭に照らされて、天井に巨大な怪物の手のような影を伸ばしている。
「うぅ……このまま帰れなかったら最悪だわ……」
その瞬間ギィッと音がして足元の大きな箱──いや、宗教的な意匠が施されているのでこれはもしかしなくても棺桶か?──の蓋がわずかにズレる。そして隙間から細い指が這い出て。
「ひ……!」
「……うふふふふ」
か細い笑い声が棺桶から聞こえて。
ジェーンは意識が遠のくのを感じ、そのまま視界は暗転した。
☽
「わぁ……こんな所に繋がってたぁ」
棺桶の中からひょこりと出てきたのは2つに結んだすみれ色の髪。図書館の部屋からまた新しい扉を潜ったリュヌだった。どうやら扉は他の部屋の扉に繋がっているとも限らないらしい。
リュヌは辺りを見回し、自分のすぐ側に立っている人影に気づいた。
「あれ、ジェーンだぁ」
「ちげーよ」
「ジョーだった」
よいしょと棺桶から出て問いかける。
「ジェーンは今どこにいるのぉ?」
「『ここ』で寝てるよ」
ジョーは自分のこめかみの辺りを人差し指でトントンと叩いてみせる。
「お前がジェーンを驚かすから僕に入れ替わったんだよ」
「入れ替わった?」
「ジェーンが辛かったり嫌なことがあったら僕が表に出てくるんだ。言ったろ?僕はヤサシイオニーサマなんだって」
そういえば初めて会った時にそんなことを言っていた気がする。リュヌは感心した。
「ジェーンとジョーは仲がいいんだねぇ」
「いや?そうでもないな」
「……そうなの?」
「ジェーンは僕のことを嫌ってるんだ。薄情なやつだろ?」
「せっかくいつも一緒なのに……」
それはすごく勿体ないことの気がする。
リュヌならいつも一緒にいられる兄弟がいたらすごくすごく嬉しいだろう。もう寂しい思いをしなくていいのだから、きっとその人のことが大好きになるはずだ。
「ま、それでもいいさ。1度ジェーンを守ると決めたら最後まで守ってやる。僕はヤサシイオニーサマだからな」
「ふにゅ」
ジョーはニヤリと笑うとからかうようにリュヌのおでこを指でつついた。そしてそのままリュヌの手を取ってどんどん歩き始めた。
「とりあえずここから出るか。ジェーンが目を覚ました時にまだここにいたら、また気を失っちまうからな」
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「カートニアゴ」
🎗ジェーン・ドゥ(cv.uta)
⏳リュヌ・ブランシュ(cv.はいねこ)
🎗澱んだ路地裏 石蹴飛ばせば
ぎらっと黒猫 振り向く目と目
(🎗)橙の夕暮れ 黙って引きずる
重い足元に 嫌に伸びた影
🎗(🎗)風つかまえて
⏳夕空ひゅるりと物知り顔した
カラスが見下ろす人のざま
All:のんべんだらりらっと だらりらっと
生きたあたしに悲しい報せ告げるように
🎗(🎗)いま天から使い 舞い降りた
All:真っ黒いからだ同士 通じ合って
秘密のいけない打ち合わせをするように
⏳夕闇に響く
All:カアとカアとニャアとカアとニャアゴ
☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽
☪︎素敵な伴奏ありがとうございました☪︎
ふくシキ。様
https://nana-music.com/sounds/060f8ba4
☪︎ 𝕋𝕒𝕘 ☪︎
#魔女ジェーン #魔女リュヌ
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