Iris Grayの悩み事〜アフターストーリー〜
JUDY AND MARY
Iris Grayの悩み事〜アフターストーリー〜
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【アフターストーリー】
「スカーレット!」
「お嬢様!? そんなに走ってはお紅茶がこぼれてしまいます……!」
アイリスが走った先は、彼女の専属メイドであるスカーレット・ローズの元だった。スカーレットは全速力で走ってくるアイリスを慌てて抱きとめる。
「そんなに走って、もしお嬢様が転んでお怪我でもなさったら、私……!」
「大丈夫だってば! ね、それより」
「アイリスお嬢様。もう少し落ち着きを持ってはいかがですか?」
「クロックもいたのね、ちょうど良かった!」
側にいたクロック・オ・ブラックの少々皮肉げな声がしたが、アイリスは気にせずに顔を輝かせた。
「あのね、ロゥにお洋服を作りたいの! どんなお洋服が似合うと思う?」
「ロルフ様にはなんだって似合います」
「うん、もちろん私もそう思うんだけど」
アイリスはロルフが自信を失っている様子を2人に伝えた。
「ロルフ坊っちゃんが……それでお嬢様がお洋服を作りたいということなのですね」
「ロルフ様が自信を失っているなんて……!! くっ……私ともあろう者が気づかずにいたとは……!!」
「だから2人の意見も聞かせて。ロゥが自分で『似合う!』って思えるようなものってある?」
そうですね、とスカーレットが赤く美しい薔薇を揺らす。
「……新しいお靴……とか」
「靴?」
「あっ、も、申し訳ありません! お洋服ですよね!」
「靴……靴ね。どんな靴?」
「えっ……えっと、ヒールのあるお靴が似合いそうだなと思いまして。坊ちゃんは最近背も伸びてきて、すらっとお美しくなられてきたので……」
アイリスはうんうん、と頷いてメモをとる。
「クロックは?」
「ロルフ様には銀の飾りがお似合いになるかと」
「あら即答」
「美しい銀細工で作られた飾りは、きっとロルフ様の聡明さや淑やかさを際立たせるはずですから」
「いいわね! 髪飾りでも、ブローチにしても良さそう……!」
アイリスはこれも丁寧にメモすると、それを仕舞い込んで2人にお礼を言った。
「ありがとう2人とも! じゃあ私街に出てくる!」
「あ、アイリスお嬢様! お一人では危ないですよ、私も……!」
「スカーレットはお裁縫の準備をお願い! クロック、これはサプライズにするんだから、ロゥに言っちゃダメよ!」
「ロルフ様のためなら」
2人が頷くのを見て、アイリスは意気込んで街へと出て行った。
「館の坊ちゃんに似合うものねぇ……マカロンのふわっとしたピエみたいなフリルなんてどう?」
「髪飾りにベールのような飾りとか!」
「どこか昔懐かしい……レトロな装いも似合いそうですね」
「ヒールは高めが似合いそやなぁ。ロルフくんのお気に入りのカッコになればええな!」
「メイクをしてみるのもいいんじゃない?」
アイリスはたくさんの人に声をかけては、さまざまなアイデアを集めた。ぱっとすぐに思いついてくれる人もいれば、じっと考え込んで答えを出す人もいる。アイリスはみんなの意見を聞きながら、心を躍らせていた。
(みんなロゥのことをこんなに考えてくれてる……!)
こんなに良いアイデアが集まったのだから、きっとロゥが気にいるお洋服ができるに違いない!
と思った時、ふとアイリスは不安になった。
そういえば、ロゥはどんな服が着たい、とか言っていただろうか?
もし、アイリスが1人で暴走していたなら……ロゥは喜んでくれるだろうか?
思わずぎゅっとメモ帳を抱きしめた時だった。
「姉様!」
「……ロゥ!?」
走ってきたロルフは、肩を弾ませている。
「姉様……帰ってこないから、心配したよ。もう夕方なのに」
気がつくと、辺りは暗くなりかけていた。心配してアイリスを探してくれたのだろう。
「こんな時間まで何してたの?」
アイリスは一瞬ためらったが、口を開いた。アイリスは嘘をつくのも、隠すのも下手だ。
「あのね私、ロゥに似合う服を作りたくて……街のみんなにアイデアをもらってたの」
「僕に似合う服?」
「でも、ロゥがどんな服が着たいか全然聞いてなくて、だから」
しょんぼりし始めた姉を、ロルフは驚いて見ていた。それからふと息をついた。
「姉様、ありがとう」
「?」
「あと……ごめんね。僕、姉様が僕の物ばっかり買うから、姉様も自分の欲しいものを選んで欲しいって思ったんだ。だから姉様がせっかく選んでくれたのに『似合わない』とか言っちゃった」
「……そうだったの?」
ロルフは申し訳なさそうに頷いた。アイリスははあっと息を吐く。
「ロゥったら……もう!」
「わぁっ!」
アイリスはロルフに抱きつくと、そのふわふわの頭を撫でた。
「やっぱり、ロゥはとってもかわいいわ!」
「ね、姉様……!」
「ねぇ、でも聞かせて? ロゥはどんなお洋服が着たい?」
ロルフは少しだけ考え込んだ。それから口を開く。
「……みんなが考えてくれた服を、姉様とお揃いで着たい」
そう言って、ロルフは少し照れたように笑った。
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ストーリー制作 ひかげ👻様
歌唱 アイリス・グレイ
イベントネタ収集垢
おぢあなご @Ojianago111
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キャラクターイベント、たくさんのご参加ありがとうございました‼️
皆様のおかげで、アイリスちゃんの悩みは無事に解決出来たようです。
素敵なサウンドがたくさん聞けて幸せでした✨
#異形の館 #IrisGrayの悩み事
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