主催ライブ編 プロローグ
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主催ライブ編 プロローグ
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コンコン。
薄暗く静まり返った廊下に、ノック音が響く。
ドアを叩いたミアは、緊張した面持ちのまま、その部屋に入っていった。
コツコツとヒールを鳴らしながら、パソコンに目を向けている女性の前まで向かう。
ミアが目の前まで来てやっと、女性___プロデューサーは顔を上げた。
「急に呼び立ててしまってごめんなさいね」
「いえ。…ご要件とはなんでしょうか」
「ふふ、そんなに身構えないで。Twinkler+Twinsをキューフェスまで導いたあなたをどうこうしようだなんて考えていないから」
その言葉に多少ミアの肩の強張りはおさまったが、依然として緊張の表情をしている。
プロデューサーはそんなミアに苦笑すると、1枚の紙を手渡した。
「…これは…」
パッと目を通したミアは、目を見開いてプロデューサーに視線を向けた。
「ええ。あなたの担当アイドルグループTwinkler+Twinsに、主催ライブの話が来ているわ。…ただ、まだ結成して日が浅いから、正直やるかやらないかは本人たちの意志を尊重したいところね」
「…では、近々全員を集めて意見を聞いてみます。結果はその日のうちに報告いたします」
「よろしくね」
失礼します、とプロデューサー室のドアを閉めたミアの表情は、複雑なものとなっていた。
未だ新人といっても過言ではないくらいのアイドルグループの主催ライブ。
話題にはなるであろうが、それなりのリスクも伴うだろう。
アイドルを守るのならば、せめて再来年以降としたいところではある。
しかし、世間の注目度が今より下がってしまっている可能性を考えると、そちらもリスクがあるが幾分かましであろう。
「…どうしたら」
とにかく彼女たちの意見も聞いてみよう。
ミアはパッと頭を切り替え、早歩きで帰路を急いだ。
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