【M31】よいよいよっこら島【新潟2】
銀河(ぎんが)
【M31】よいよいよっこら島【新潟2】
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中魚沼郡中里村
伝承:高槁トキ/1919年生
採譜:峰村辰典/1971年
収録:全集9下
キー:譜面C/歌唱1音下げ
譜面テンポ:♩=80
◼️
よいよいよっこら島のがんがらおよし
およしが大きくなったら上田へやろか
上田はよいとこ縮緬(ちりめん)づくし
お家じゃ菜種の花ざかり
守りっ子は楽なようで辛いもの
雨風吹いても宿はなし
主人に叱られ子に泣かれ
早く十二月が来たならば
風呂敷包みに下駄さげて
おっとさんさいならまた来ます
おっかさんさいならもう来ない
そんなこと言わずにまたおいで
やのことこうせん親大事
◼️
よっこら島:架空の地名と思われるが詳細不明。冬濤世代は「ひょっこりひょうたん島」を思い出します(NHK放映の人形劇。1964-1969)
がんがらおよし:およしは女の子の名前。がんがらおよしは通称と思われるが、なぜ「がんがら」なのかは不明
縮緬(ちりめん):高級絹織物
十二月:出替わり(奉公守り子の交替)。音数から「しわす」と歌いましたが「じゅうにがつ」かもしれません
風呂敷包みに下駄さげて:里帰りの守り子はいつもこのスタイル。下駄を履かずに腰にぶらさげているのはなぜなんだろう?
おっとさんさいなら:これと「おっかさんさいなら」は奉公先に戻る守り子のセリフ。「そんなこと言わずにまたおいで」は見送る親のセリフ
やのことこうせん:意味不明
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Aはちりめんづくし/Bは菜種の花ざかり──これも各地の守り子唄に出てくる歌詞。Aにはお江戸、Bには田舎などが入ります(ララバイ編【37】)。要は自分のいる場所と華やかな都会を対比させた歌詞ですが、冬濤は守り子唄を歌うまで縮緬の美しさを知りませんでした。二年前ララバイ編を熱心に聴いて下さった女性があり、その方が着物に詳しく、教えていただく形で画像や実物を見るようになりました。本物の江戸縮緬は色鮮やかなのに安っぽい派手さは微塵もなく、着物に無知な冬濤も溜め息をついてしまう美しさでした。リアルでは「しょんべん臭いゴザ(一日赤子背負って粗末な着物は小便まみれ)」と悪口言われた少女たち=守り子たちが、可憐な縮緬にどれほど憧れたのか、鈍い冬濤にもさすがに解ります。匠(たくみ)の美=縮緬に、一面の菜の花=自然の美を対置させたのは、守り子たちの意地だったのか悔しさだったのか、もはや知る術もありませんが。
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