【M27】姉やも泣くよ【千葉2】
都雲(つくも)
【M27】姉やも泣くよ【千葉2】
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東葛飾郡関宿町江戸町
伝承:金井いち/1902年生
採集:青木更吉/1980年
採譜:尾原昭夫
収録:全集6下
キー:譜面Dm/歌唱Cm
譜面テンポ:♩=80
譜面タイトル:坊やが泣けば
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ねんねんころりよねんころり
坊やはよい子だねんねしな
坊やが泣けば姉やも泣くよ
守りっ子は楽なよでつらいもの
つらいはずだよよそだもの
よそは他人のなかだもの
他人のめしにはトゲがある
ねんねんころりよねんころり
(以下略)
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姉や:守り子
他人のめしにはトゲがある:「他人の晩飯も食い飽きた」(M14)など、食事時の居心地悪さは守り子唄によく歌われている
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またまた江戸子守唄(陰旋)の転用ですが、この唄はふしぎと飽きを感じないというか、旋律が洗練されているように感じました。歌詞に出てくる「姉や」という言葉も冬濤には印象的。童謡『赤とんぼ』に歌われた「十五で姉やは嫁にゆき」──この姉やが守り子ですが、これは背負われた幼な子の言い方。守り子が自分を姉やと呼んでいる唄を冬濤は他に知りません。現代でも姉が小さな弟妹に自分のことを「ねぇねぇ」と言ったりしていますから、そういう使われ方だったのかな、と。守り子の自称は地域によって様々。関東では、おともり、もりっこ(この唄にも出てきます)などが多かったようです。地図をみると関宿町は千葉県の北端、茨城・埼玉両県に食い込む位置にあり、銚子や房総とは違った風土になりそう。東京清瀬市在住の冬濤には遠い場所ではないので、一度訪ねてみたい町です。タイトル「姉やも泣くよ」は冬濤が勝手に付けました。
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追記。この唄がきっかけで冬濤は最近「自分の足で歩く旅」を始めてしまいました。上の文章を書いた時点では歩いて行くことなど考えていなかったのですが、距離をみるとほぼ50キロ。守り子唄の多くは里帰りも徒歩の時代。自分も歩いて行けないだろうか?──などと考え始めてしまい、結果をいえば、三回チャレンジしてやっとたどり着くことができました。11時間以上かかりましたが、田園の中に古い民家が寄り添うように建ち並ぶ関宿三軒屋にたどり着き、少し足をのばして利根川の土手を上り、夕景の彼方に筑波山がみえたときは感無量でした。「風呂敷包みを背中にしょって/下駄を横ちょにぶらさげて」ずっと傍らを歩いてくれた(そんな気がしていただけです)守りっ子たちに感謝。(22/07/15)
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