【M26】四日市場の子守唄【千葉1】
都雲(つくも)
【M26】四日市場の子守唄【千葉1】
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銚子市四日市場町
伝承:野村フサ/1921年生
採集:永澤謹吾/1977年
採譜:尾原昭夫
収録:全集6下
キー:譜面G/歌唱1音下げ(F)
譜面テンポ:二分音符=66
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泣いてくれるな出船の出先ヨ
泣くと出船が出そくなるヨ ヨイヨイ
お前泣くからこのわしまでがヨ
つらい涙が先に立つヨ ヨイヨイ
守りは楽なよでつらいものヨ
雨風吹ければ宿はなしヨ ヨイヨイ
ヨーイ四日市場(よっかじば)で日(し)が暮れてヨ
芦崎(あっさき)田んぼで夜が明けたヨ ヨイヨイ
早く来い来い師走の二十日ヨ
いろいろお世話になりましたヨ ヨイヨイ
ヨーイ四日市場の汚れ道心棒ヨ
いくら汚れでも籠つくるヨ ヨイヨイ
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出そくなる:出そびれる
四日市場:銚子市四日市場町
芦崎:四日市場より利根川沿いに約二キロ上流の地名
師走の二十日:出替わり(子守り奉公の雇用期限)。参考【M23】
道心棒:乞食坊主。子守唄には貧しい者、流れ者として出てくる。五木の子守唄では「勧進」
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千葉は子守唄13曲、うち守り子唄2曲。この唄については全集本文を引用させていただきます。『銚子市四日市場町を中心に松岸町・柴崎町など利根川沿いの地区で古くからうたわれてきた、この地方独特の子守歌である。四日市場は銚子市中心部から四キロほど上流の田園地帯で、昔は川船の港があったところ。したがって出船のつらさ、たんぼの広さ、特産の籠などがうたいこまれている。「ヨーイ四日市場へ嫁婿だすな、畑は遠いし田は深し」といった歌詞も残されている。陽旋法ではあるが哀調を帯びた美しい子守歌である』(p220)
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歌詞の守り子唄パート(一字下げた部分)は明らかに後から突っ込んだもの。採譜の尾原昭夫先生(冬濤が子守唄にハマるきっかけとなった『篠笛日本名曲集』の著者でもあり勝手に師と仰いでいます)が書かれている通り、メジャーキーでありながら哀調帯びた美しい旋律。地元の守り子たちも好んで愛唱していたのではないでしょうか。歌詞も「泣いてくれるな」など、赤子に泣き止んで欲しい守り子が歌いたくなる唄──だったと思います。好きな唄に自分たちのこと=守り子唄を混ぜるのは常套手段ですが、原曲の完成度が高いだけに、ぶっちゃけ守り子唄パートは浮いてます(笑)。原曲の「よっかじば」「あっさき」という響きや「ヨーイ」の入り方「汚れでも」の三連符などカッコいいなあ……と。一方で「雨風吹ければ」の「れ」などは音数に合わせて強引に挿入した感じ(当時の、あるいはこの地域の言葉として、そういう言い方があったのかもしれませんが)。そんなこんなで、冬濤は守り子唄を歌ってるくせに守り子唄パートすっとばしという、もりっこに石投げられそうな歌唱と相成りました。いや、尺の都合もあったんだよ?(言い訳)。ところで譜面テンポは二分音符66。これは通常の四分音符指定なら倍の132ということでしょうか。かなり速いテンポですが、ここではゆっくり歌わせていただきました。
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最後の「かごつくる」の部分、譜面はシレミレソソ(一番の「出そくなる」と同じ)ですがシレミーソソで歌ってしまいました。申し訳ありません。
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