〈第1話〉向日葵【後編②】
台本 由季
〈第1話〉向日葵【後編②】
- 19
- 0
- 0
【CEA】〈第1話〉向日葵【後編②】
次の日
4人は何をするでもなくいつもの部屋に集まっていた
セオ「早速ニュースになってるな。」
クレア「ミシェルさんのこと?」
セオ「あぁ。ネットでも結構話題になってる。…ほら」
セオは端末のニュースをクレアに見せる
ーーー
(目を通すだけ)
倒産寸前だった修道院が、莫大な寄付を受け、復興することが決まった。
寄付金の主は、ミシェル・ウォーカー──
通っていた修道院前で跳ねられた彼女は、生前の遺言にて万が一、自分の身にに何かあったとき遺産は全て愛する修道院の復興のために使って欲しいとのことで、小さな修道院は命を吹き返した。
しかし、ひき逃げをしたと思われる犯人は未だに見つかっておらず、目撃者もいないことから、車種や、ナンバーも判明しないまま、ヤードが捜索中である
後に話を聞くと、修道院長曰く、息子の婚約が帳消しになったらしい。なぜなら、婚約者は名前だけの没落貴族で、自宅で眠るように倒れていたそうだ。傍には大量の薬が散乱しており、遺書が置いてあった。遺書にはこれまでも詐欺まがいのようなことをして、お金を巻き上げていたらしく、その罪状が事細かに記されていたようだ。
ーーー
クレア「……へぇ。(オリヴァーに)そういえば…婚約者のことはいつの間に片付けたの?」
オリヴァー「ゆすりをかけただけだよ。繰り返しね」
クレア「オリヴァーの手を煩わせるなんて……言ってくれれば私がやったのに」
オリヴァー「ありがとう、クレア」
微笑むオリヴァー
クレア「………車だってそうよ」
それでも納得できないクレアだったが、オリヴァーの微笑みを目の当たりにしたことで、その頬は僅かに赤く染っている。
レイ「そういえば、あの車はどうしたの?」
セオ「あぁ、あれは廃車にしたんですよ。」
レイ「……いつの間に?」
オリヴァー「君に負担をかけたくなかったんだ。」
レイ「…私、貴方の役に立ちたいのに何もできてない」
オリヴァー「レイ、君が居るから俺は帰ってこられるんだ。だから、気に病むことはないんだよ」
レイ「………ありがとう」
甘い雰囲気を出すレイとオリヴァーにクレアは静かに怒る
クレア「………」
そんなクレアに気づいたセオが話を変えようと声を張り上げる
セオ「ま、まぁ!証拠隠滅も完璧!無事にミシェルさんのかみさまは守れたんだ。これで一件落着ですね!」
レイ「そうね。…ねぇ、ミシェルさんに何かしてあげられないかしら。……お花を供えるとか」
セオ「花かー、僕は専門外だからなぁ」
クレア「……向日葵」
セオ「え?」
クレア「なんだか彼女、向日葵みたいね」
オリヴァー「……そうだね。……ミシェルさん、貴女の居場所は俺たちが必ず守ります。安らかな眠りを……」
その日から、修道院の前には、毎年同じ日に、向日葵が手向けられるようになった
FIN
Comment
No Comments Yet.