Utopiosphere
The Epic of Harmosphere 第1章
Utopiosphere
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第1節 それは古の或いは未来の知られざる物語
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「おめでとうヴィオレット!」
「そなたを歓迎しよう!」
目の前の光景にヴィオレットは目を瞬かせた。
アリソンから「ヴィオレットのために東の国でお披露目の式典をしてくれるらしいわ」と突然言われ、東の国の王都にやってきたのが昨日。そして式典の前にソルとルナに挨拶に行くように言われたのが今朝のことだ。
ソルとルナの噂はヴィオレットも耳にしたことがある。齢1000歳を超える大魔女で、自由気ままな魔女達をまとめあげることができるほどの魔力を持っていると。今朝突然アリソンにその2人に会いに行けと言われてヴィオレットは気を失う所だった。
しかし、ガチガチに緊張したヴィオレットの前に現れたのは、自分よりもはるかに小柄な10歳ほどの少女たちだった。
「ええっと……ソル様とルナ様でしょうか?」
「いかにも。儂がソルで」
「ワシがルナじゃ。意外そうな顔じゃなあ?」
「も、申し訳ありません……!あの、あんまりお二人が可愛らしい見た目なので……」
「嬉しいことを言ってくれるのう」
「ワシらもまだまだ捨てたもんじゃないのう」
きゃあきゃあと2人で嬉しそうに笑う姿は無邪気で愛らしい子どもそのものでとても1000歳を超える魔女とは思えない。
「さて、式典の間まで案内してやろう」
「城は広くてすぐ迷子になっちゃうからのう」
二人は笑いながら両側からヴィオレットの手をそれぞれ掴み歩き出す。
東の国は進歩的な国だ。当然その首都の王の住まう城となれば最新の科学魔術(マニエンス)を使用した仕掛けも多い。のどかな南の国で暮らしていたヴィオレットには珍しいものばかりだ。
「わっ!部屋が動いた……!」
「これは昇降機というのじゃ。科学魔術の機械のひとつで今は儂の魔力で動かしておる」
「この城で上の階に人や物を移動させる時に使っているんじゃよ。人は空を飛べないし、物を浮かすこともできないからのう」
昇降機が辿り着いたのは大きな広間だった。足を踏み入れると、そこは青みがかった黒髪に優しい緑色の瞳の女性の大きな肖像画が飾られていた。
「……この方は?」
「これは救国の魔女じゃな」
「ヴィオレットは世界大戦については知っておるかの?」
「は、はい。1000年前、500年前……それから100年前にあった大きな戦争のことです」
この大陸には東西南北の四つの国がある。もちろん四つの国が仲良く平和な時代ばかりではなく、争いが産まれた時代もある。
一番新しい第3次世界大戦は国だけでなく、各国の魔女も戦いに駆り出されたため大きな被害が各地に残されたという。
「感心感心!しっかり学んでおるな」
「救国の魔女は第1次世界大戦で戦争を鎮めた魔女と言われておる。これはその救国の魔女を描いたと言われる絵じゃ」
「わぁ!すごい方なんですね!」
「……まぁ、実際のことは知らんけど?」
「何せ1000年も前のことじゃから」
「へ、へぇ……」
何だかこの2人、適当だ。大魔女のイメージが崩れていくなとヴィオレットは心の中で思った。
「……100年前の世界大戦では人間だけでなく多くの魔女が命を落とした」
「そのせいで国や人間、魔女の間にもまだわだかまりが残っておる」
「ヴィオレット、そなたは新しい時代を生きる魔女となるじゃろう」
「無理に皆と仲良くしろとは言わぬ。しかし過去に囚われず、自分の目で確かめ、自分が信じたいと心に決めたものを貫くんじゃよ」
その言葉にはっとして二人を振り返ると、少女のようだった2人の目にはいつの間にかその見た目に似合わない深い慈愛が浮かんでいた。
「……ありがとうございます」
大魔女ソルとルナ。やはり二人は偉大な魔女なのだとヴィオレットは心の底から思った。
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やがて3人は大きな扉の前にたどり着いた。
「さて、心の準備は良いか?」
「は、はい!」
「深呼吸、深呼吸じゃよ~!」
扉が厳かに開くと、そこはヴィオレットの部屋が50個分はありそうな大きな部屋だった。重厚な絨毯が敷かれ、シャンデリアがきらきらと輝いている。東の国の繁栄が察せられる部屋だ。
そして、部屋に集まった多くの貴族たち。人々の視線を向けられてヴィオレットは緊張から身を固くする。
「北の国の魔女、ジャンヌ・フォーサイス」
「はっ、ここに」
ソルが凛とした声で名を呼ぶと、雪のような髪と氷のような青い瞳の魔女が一歩前に出る。腰に剣を携えた、凛々しい雰囲気の魔女だ。
「南の国の魔女、アリソン・フローレス」
「ええ、おりますわ」
次に育ての親であるアリソンが一歩前に出る。太陽を溶かし込んだような髪と瞳。いつもの通り変わりなく穏やかに微笑んでいる。
「西の国の魔女、アンネ・クリストファー」
「……ここに」
また1人魔女が静かに前に出る。俯き気味なので顔はよく見えないが、前髪の隙間からのぞく深く柔らかな緑色をした目が印象的だ。
「西の国の魔女、アビゲイル・ヘルキャット」
「はーい!いるよ!」
場違いな緊張感のない声とともに燃えるような赤毛の魔女が前に出る。そしてヴィオレットを興味深そうにじろじろと見てくる。何か怖い。
「西の国の魔女、ソフィア・クラーク」
「はい、おります」
そんなアビゲイルを睨みつけながらきちんと髪を結い上げた女性が一歩前に出る。見るからに真面目そうな雰囲気の女性だ。
「東の国のソル・アルレッキーノ」
「同じく東の国のルナ・アルレッキーノ」
最後にソルとルナが名乗りをあげる。
白い正装に身を包んだ7人の魔女たち。ヴィオレットを囲むように進み出た彼女たちは、ぴんと張り詰めた雰囲気の中静かに目礼する。
そしてソルがヴィオレットを振り返り、厳かに告げた。
「儂ら7人は、今この時、新たな魔女ヴィオレット・ホワイトを心から歓迎しよう」
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🧸ソル・アルレッキーノ(cv.あんに。)
🎀ルナ・アルレッキーノ(cv.あかりん)
✒️アンネ・クリストファー(cv.中条瑠乃)
📓アビゲイル・ヘルキャット(cv.憂沢時雨)
🕛ソフィア・クラーク(cv.はいねこ)
🗡ジャンヌ・フォーサイス(cv.なぎ)
💍アリソン・フローレス(cv.香流 紫月)
🗝ヴィオレット・ホワイト(cv.朔)
all:Step through the gate into Utopia
(理想郷への扉をくぐり抜け)
Sink into a world of Melodia
(旋律の世界へ沈み給へ)
🧸Black lace
(黒いレースのように)
Euphoberia hurries away (🎀LaLaLa……)
(巨大なムカデが走る)
🎀Tiny legs
(細い足)
Leaves behind a track of cardioid (🧸LaLaLa……)
(残した足跡はカーディオイドの形)
🗡Twisted creation
(歪んだ創造物)
Phosphorescent apparition
(燐光を放つ昔の幻影)
💍Heart disorientation
(行き先を失った心)
Bemusement
(困惑)
📓Merry go ‘round and around
(メリーゴーランドがくるくる回る)
✒️Misery go ‘round and around
(不幸がくるくる回る)
🕛Quandary go ‘round and around
(困惑がくるくる回る)
🗝Merry go ‘round and around
(幸せがくるくる回る)
🕛📓Tick-tock Time doesn’t stop
(チックタック時間は止まってはくれないから)
✒️🗝Prepare your doubts Eat them up
(疑念を料理して食べるしかないのです)
🗡💍Quaff down The pus of thoughts
(思考の膿を飲み込んで)
🧸🎀Red sand flows out Sweet mouth
(赤い砂は君の甘い口から溢れて行く)
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☪︎第1章 プレイリスト☪︎
①→https://nana-music.com/playlists/3770346
②→https://nana-music.com/playlists/3840176
☪︎素敵な伴奏ありがとうございました☪︎
狐のリサ様
https://nana-music.com/sounds/03103880
☪︎ 𝕋𝕒𝕘 ☪︎
#魔女ソル #魔女ルナ #魔女アンネ #魔女アビゲイル #魔女ソフィア #魔女ジャンヌ #魔女アリソン #魔女ヴィオレット
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