19.救いたい事
劇団indies
19.救いたい事
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居間を離れ千歳は一人、部屋の中で考え込んでいた。
千歳「私が鬼姫…何でそんな大事なことを…忘れていたの?」
雨水「ただ普通に忘れていたんじゃないかもしれないぞ。」
千歳「雨水…。」
雨水「自分が鬼であることを意図的に忘れたのかもしれない。このまま見つからずに生きられたら良かっただろうに…見つかるのが早すぎた。」
千歳「私はどうすればいいのでしょうか。」
雨水「さぁな。…ただ、俺は間違っているこの世を変えたいと思う。鬼も人も仲良く出来る世を作りたいんだ。」
千歳「そんな世になったらきっと素敵ですね。」
雨水「そんな綺麗なことじゃねぇよ。…俺の両親がそれを望んでいたんだけどあの人に殺されちまった。…これは復讐でもある。」
千歳「あの人…?」
雨水「咲蘭。俺の両親は父が人間、母が鬼だった。…俺の両親を殺した後、鬼と人のハーフだった俺を物珍しく思い育てたんだ。」
千歳「…そんな。」
雨水「絶対に許さない。…二人の願いも、大切なものも全部守り抜いてみせる。」
千歳「…雨水は強いですね。」
雨水「強くなんかないさ…俺はただ、曲がったことが嫌いなんだ。それと、…あいつを笑わせたいだけ。」
千歳「あいつ?」
雨水「あの城に捕らわれてる子。名前は知らないしもう顔も覚えてないんだけどさ、人形みたいで生きるのを諦めてるようにも見えたんだ。生きてれば楽しいことがあるんだって、…それを教えてやりたいんだ。」
千歳「その人は今も城に囚われているんですか?」
雨水「あぁ、…だから助けてやりたい。」
千歳「…雨水にそんなに思われていてその人はきっと嬉しいでしょう。救えるといいですね。」
雨水「そうだといいけどな…。…救ってみせるさ、絶対に。母さん達の意思を継いでこの世をなんとかしてあいつの笑顔を見るまでは、…俺は死ねない。」
千歳「私も雨水の様に…なれるでしょうか?」
雨水「別に俺にならなくていい。大切なもの、守りたいものがあればあるほど人は強くなれる。…お前の答え、待ってるから。」
千歳「…はい。」
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