🎤≪歌旅日記≫🏃 【30】
◆訪問地
沖縄県那覇市 龍潭池
沖縄県那覇市 円覚寺跡
沖縄県那覇市 識名園
沖縄県那覇市 弁財天堂
今回のテーマは、「琉球古典音楽をモチーフとした本楽曲になぞらえて『琉球王朝の雅』を訪ねて失われた首里城を探す旅をして、宮沢氏がナレーターを務める『時の首里彩画』をリスペクトした動画にて本楽曲を4部に分けて表現する」です。
第3回目の本サウンドは『琉球王朝のおもてなし』として、琉球王朝の中国からの冊封使を迎賓する為の庭園などを巡った。といっても、識名園以外は首里城公園内にあるので移動範囲は少ない。しかしながら納得のいく撮影ができるまで、朝昼晩と幾度となく通った。
『時の首里彩画』
https://youtu.be/Nv5FgKlxYVQ
宮沢氏がナレーターを務める沖縄の地方局のミニ番組。現在、シーズン2が放送中。
それでは『時の首里彩画』の宮沢氏ナレーション風に。
「古の調べが響き渡る時、その絵は描かれる。ニヤの首里彩画」
「今日は『墓標』の後部の前半の調べに乗り、琉球王朝のおもてなしの色を探しにいきます。」
≪歌旅について≫🏃
時系列ではなく動画の展開順にて、各訪問地を語る。
●龍潭池
まずは、龍潭池と弁財天堂。ここはほぼ同じ場所。首里城が出来るまでは首里んちゅキッズの巨大な遊び場で、テラピアやザリガニなどの外来種がウジャウジャいて巨大な釣り堀であった。
かつて私も龍潭池と弁財天堂をつなぐアーチ状の龍淵橋の中に入って、友人が釣竿を垂らすのを眺めたり、弁財天堂のある円鑑地に降りてザリガニを捕っていたら登れなくなって半泣きになったものである。
龍潭池あるあるで「キッズは皆一度は池に落ちる」といのがあった。国営公園になる前の龍潭池の淵の石畳み道はガタガタで、穴が開いてる所もあれば水際はヌルヌルで滑りやすかった。かくいう私も家族で散歩している時に、足を滑らせて片足の腿まで落ちたことがある。3年前に琵琶湖に落ちた時は腰までだったけどなw(死ぬかと思った)
で、「龍潭池に落ちる」という現象的恐怖だけでなくキッズを震え上がらせたのは、「龍潭池の底にはまだ戦争で亡くなった人の骨がある」という噂があったから。その当時にそんな事はないのだけど、戦時中~戦後はもちろんそうだった。
今回の旅で私が巡った史跡など、実は戦後に再建されたものがほとんどである。日本軍の本部があった首里城近辺は、土が吹き飛ばされてその下の石灰岩が剥き出しになるほどの砲弾を受けて、荒れた大地に焼けた木が点在する荒野となった。その中でも、首里の湧水が集まる龍潭池の水だけは残っていた。
ちょうど慰霊の日のあとから首里城公園に通いだしていたので、そんな悲劇と復興の歴史も感じながら撮影をしていた。本楽曲を表現するにあたっての見通しで今回の表現での最重要スポットは首里城であろうと考えていたが、この龍潭池も後部前半の表現においては重要であると考え重点的に撮影していた。
というのも、沖縄には本楽曲で扱わるような大河がないからである。ましてやコンクリートで整備された川は除外するスタンスで琉球王朝にまつわるもの限定だと皆無に等しい。「いま君の御胸に流れる」と歌うのに、狭かったり生活用水だったら台無しである。
てなわけで、この龍潭池を大河に見立てて、「いま君の御胸に流れる」川のように悠然と包み込む想いを表現することにしたのである。先に語った戦争で焼け野原になったけれど水だけは湧き残った歴史なども加味すると、むしろこの楽曲にマッチしている気がしないでもない。池だけどね。
●円覚寺跡
弁財天堂から道を挟んで向かい側にある厳かな門構えが特徴的。その裏に本来ならばお寺があったんだけど、空襲で焼失してから再建はされていない。そこのなんだか寂しい廃墟のような空間にポツリとある石橋が、戦争を生き残った沖縄最古の石橋である放生橋。500年の歴史がある。もうそれだけで重要素材。
●識名園
本楽曲の歌旅の実は「存在は知ってるけど行ったことがない」場所が多いのだが、この識名園もその一つ。7月の緊急事態宣言明けにようやく入れたが、台風6号が発生してすぐに行ったので風が強い。
だいたいどこの観光地も人影はまばらだが、この識名園で最初に目にしたのはタイ人(たぶん)の女性2人がポーズを取っているのをダンスミュージックを流しながらスマホで写真撮影をしている男性。なんじゃこりゃ?
あとは清純女子とヤンキー風男子のカップル。そして、ただひたすら撮影している私。この伝統ある識名園に合計6人で、それぞれがコロナ禍以前ではほとんどされない楽しみ方をしていた。面白いw
タイ人らしき方々がいなくなって静かになった識名園。ほぼ無人の後継を撮影できる機会は本当に貴重。もう二度とないと思うし、世の中的にはこんな異常状態はないほうが良いね。
帰り際に首里城から識名園までのパネル地図をふむふむと見ていたら、警備員の方が首里城から識名園に繋がる道の歴史や水の流れの意味について解説してくれた。そこで教えてもらった事が①の樋川巡りや崎山公園への訪問に繋がった。
●弁財天堂
『時の首里彩画』でも登場回数の多い名所。巨大な石造りの円鑑池に浮かぶ舟のようにも感じる。ここの付近によく来る白鷺をまたり眺めるだけでも楽しい。今回は朝昼晩と訪れて、定点撮影も実行した。1時間以上も同じ場所に座り続けたけど、気持ちさえあれば全然飽きないよ。
当初予定だとここに福州園も加えたかったけれど、3月まで改装中とのことで断念。まぁ、今回設定した4つのテーマに孔子廟と共にそぐわなかったので外したけれど、またいつかなんかの歌旅で行きたいなぁ。
龍潭池と弁財天堂は首里城公園内の遺跡ということもあり、何度も何度も足を運んだ。その撮影素材はほんの一部しか動画には使わなかったけど、足を運んだ時間の分だけ歌う際の“見つめるイメージ”を強く降ろすことが出来たので満足である。
≪動画について≫🎥
龍潭池は動画素材として使うかどうかもわからないまま納得いくまで撮影に足を運んだ。早朝5時からの朝焼けの景観の定点撮影から夜のライトアップまで幅広く。イントロのライトアップされた龍淵橋が黄金の輝きを放っていたのには感動した。
識名園は当初より③の動画に当てるつもりだったので、「琉球王朝の荘厳な庭園と花」という構図の写真や動画を撮っていた。しかしながら、台風接近により風が強く動画だと花木がブルンブルンと大揺れしていて曲調に合わない。
なので、写真をいくつか撮ったのだが、動画編集の際に浮かんだアイディアで、強風で大揺れする花に照準を合わせて写真の位置や大きさを調整して重ねたところ面白い効果のある動画を編集できた。
弁財天堂の夕暮れ照明点灯の定点撮影はもう少し長めに撮影したら良かったなぁとちょっと悔いが残る。なもんでこの後にもう一度行ったのだけど、今度は雲の動きが納得いかない。自然を相手にする面白さと難しさを楽しめたではある。
動画編集の最終段階では速度や色調の調整と最後の光の演出を行った。最後の光の演出は④の動画まで全部完成させた上で、④に繋がる大事な意味を込めている。
今回の③の動画編集でこだわったのは、「琉球王朝の悠然とした優美さを表現する為に、沢山の動画素材があったとしても惜しまず欲張らず使用する動画は最小限にする」ということだった。あれだけ時間をかけたのにたったこれだけしか使わんのかってのもあるかもしれないが、あくまで歌“旅”なので「表現の体験こそが重要である」というスタンスであればこそである。
≪伴奏について≫🎼
まずkanakoさんにお願いしたのは、本楽曲の後部の要となるストリングス。今回の4部作はかなり複雑な製作になると思い、コラボ構成や音量バランスを視覚化した段取り書を作成して共有。kanakoさんもまたこれに呼応してくれて、無数のストリングスパターンを用意してくれた。
楽譜もないし、宮沢氏が一年かけて創った壮大な伴奏を個人が家で出来る範囲の表現で当て込むわけだから、そのストリングスパターンから「正解を選ぶ」というより「正解を創る」という相互作業であった。私も歌トラックを作って、歌入れテストサウンドを無数に作って正解を模索。
「芯が入っていなくてストローのような音色のストリングス」を正解として定めて、ようやく本楽曲後部の表現作業が船出。成功への航路を進むには、しっかりとした船を創る事が大事なのよ。
大役を果たしたkanakoさんからバトンを受け取って挑んだのは次の胡弓表現。当初は入れる予定じゃなかったけど、ここまでのストリングスが出来上がったなら挑戦してみたくなった。
以前からdaiさんが前部と後部の伴奏を上げているのは知っていたし、いつか「その時」が来るまで温めていた。それをいよいよ表現するにあたって後部の表現を前半と後半で同じように2回ずつやってもつまらないので、無謀にも「私がDTM伴奏をつくるよ」とkanakoさんに提案。しかも、daiさんの伴奏を生かしてコラボ上乗せというnanaのDTM伴奏アップの限界突破を目指した。その前哨戦としての『ちむぐり唄者』であったのだった。
見出した方法としては『ちむぐり唄者』の時に語ったが、タブレットにてDTMアプリでドラムパターンを作り、そのサウンドをスマホからnanaにマイクで録って重ねる、という作業。とりあえず使用しているDTMアプリは操作は簡単だけどバグだらけで苦労した。
で、今回の③の伴奏での胡弓の表現にて新たに追加した『musicline』という作曲アプリが大活躍。本当に素晴らしいアプリなんで名前出すわ。簡単操作で曲が作れて、しかも色んな楽器の音色がラインナップ。リズム系はそんなに多くはないけれど、無課金状態で出来ることがもう十分すぎる。
kanakoさんに音階を拾ってもらってそれをアプリに打ち込んで、タブレットに繋げたスピーカーから出力してスマホnanaマイクで録る。今回はさらに研究を重ね、ヴァィオリンの音色をを単録音アリーナ60%で録ってトラックを作り、伴奏コラボ時にさらにアリーナを100%かけることでnanaステレオ化による“音の硬さ”に柔らかさを与えた。「中国の仙人が水墨画の山の上をフワリと浮き流れてる感じ」という、この楽曲を初めて聴いた時の印象を表現できたかと思う。
次にラスト部に鉄鈴とシンバルを重ね、イントロには鈴とシンバルを重ねた。イントロの鈴については雰囲気を出したくてスイベルを購入しようか検討したけど、たった1秒に諭吉出してお釣りちょっとは表現狂気から醒めるに十分な現実だったので購入やめ。
さらに時間をかけて研究し、鈴の振り方でスイングに返しを入れて音を長くしてそれにアリーナ75%で鈴トラック作成、その鈴トラックを後半デクレシェンドしてアリーナ100を重ねてインパクト強化。さらに微妙に重ね位置をずらして鈴の数を倍に(8→16)。最後にシンバル重ねて完成。トラック録音の良いところは、マイク距離に左右される音量の差を均等に出来たり、自身の歌や演奏をフェードイン・アウトできるところ。
ここまででほぼ完成だけど、私の理想とする中国の水墨画や仙人のようなイメージに達するにはトラック録音で音質が荒くなった胡弓の音色がまだまだ固い。なので、kanakoさんにストリングスのみのトラックを作ってもらって、それをスタジオ100%で重ねてみた。そのおかげで全体的にふんわり感が増し、イントロの鈴シンバルにも黄金の輝きを宿すことができた。
伴奏背作期間だけでも5ヶ月はかかったが、歌旅をしていくごとに自分自身の表現の方向性をかためていくことができ、それによって仕上げていく伴奏に納得と自己説得力を持たせることができた。kanakoさんも私も初挑戦ばかりだったが大満足である。
≪歌入れについて≫🎤
いままでずっと聴いてきたしCDに合わせて歌うことも幾度となく。しかし今回、いざ真剣に歌うと何故か納得いかない。特に各小節の入りの「い~ま」の音程を外してしまう。その原因は何か、いまだにはっきりとした答えは掴めていないけれど、どうやら原曲の宮沢氏の後部歌い出しは伴奏のメロディとは違う音程をなぞっているようである。
今回のサウンドで目指したのは原曲表現のフィーチャーなので原曲の伴奏にほど近いものである。じゃあライヴverはというと、これまた伴奏に沿った歌い方をしている。でも宮沢氏も相当に意識集中させて歌っている。カラオケはライヴverおよび伴奏に添っている。でも私が表現したいのは原曲だ。
追求の結果、「い~ま」の「い~」の発声表現とかに下から上がるカーブを付けているようだ。CDに合わせて歌っていた時にには気が付かない、実際に自分が歌ったのを聴いて比較して初めてわかる違い。宮沢節をわかったつもりでいたが、まだまだ奥が深いなぁ。
当初はトラック録音で歌入れ時間を軽減するつもりだったが、トラック録音の歌声はやはり間接的なノイズがあるので仕上がった伴奏の美しさにはそぐわないとして、改めてスタジオインして歌入れを行った。音量バランスの重要ポイントとしては、ボーカルと胡弓の高音が喧嘩しないことであったが、とりあえずの良バランスは確保できたかな。追及したらキリがないので、ここらへんで納得。
素敵な伴奏にて歌わせて頂きましたdaiさん、また、共に伴奏を製作してくれたkanakoさん、ありがとうございます。
daiさんの弾かれたピアノの音色の世界観があればこそ、私もkanakoさんも情熱を乗せていくことができました。また、「楽譜ないからストリングス表現を自身で見出してほしい」という無茶な依頼にもかかわらず完璧なストリングスを表現してくれたkanakoさんの情熱と技術力に、心からの尊敬と賛辞の拍手を贈ります。パチパチパチ👏👏👏
≪最後に≫🏞️💐⛵🌬️🌾
今回の龍潭池や弁財天堂がある首里城公園は半年の間に朝も昼も夜も日の出も夕暮れもお盆でも台風でも足を運んだので、ようやく表現のカタチを世に出せて感慨深い。
龍潭池に何度も足を運んでいる時に、釣りをした事だけでなく首里城が出来る前の首里文化祭の花火大会を思い出していた。
いまじゃ信じられないが、首里文化祭と言えば古式行列ではなく、仮装大会だったりキャラクターの山車(私が経験したのはゴジラとロビンマスクw)を引いたりだった。その「まちのお祭り」の締めで、龍潭池に長~いロープを張ってナイアガラ花火が盛大に放たれていた。
その時の龍潭池の前の道を埋め尽くす人の多さと熱気は、いまの首里にはないのが少し淋しく感じる。特に首里城が焼失してからの新型肺炎最大ピークの今年は、すれ違う人も稀なほどだった。
首里城の再建と共に首里城公園の運用の見直しをすべきだと宮沢氏は提言している。オーバーツーリズムの軽減、ランキング社会の手段としての上っ面の観光地からの脱却、王朝文化の威厳と尊敬の復活など、50年先の沖縄について考えてくれている。
その宮沢氏の想いとは裏腹に“たった4年”で首里城は再建される。またいつか、琉球王朝文化への愛をもった人々が世界中から集うような祭りが開催されるなら、その時こそ環境と文化を尊重した『琉球王朝の新しいおもてなし』を披露してほしい。
次回は最終回、『琉球王朝の栄華と威厳』の色を探しに行きます。おたのしみに。
※トップ画像は、悠然としたほぼ貸し切り状態の識名園。
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Comment
2commnets
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- kanako素晴らしい歌と動画のコラボ、伴奏の共同製作ありがとう! これも弾いたのは半年以上前。だけど、この曲のこの部分のあのストリングスが表現できるのがもう嬉しくて、思い切り楽しくサウンド作りをしたのを懐かしく思い出します。 ニヤさんの胡弓の音色の表現に対する意地には自分も動かされ…。 自分ももっともっと真剣に取り組もう!と刺激を受けました。 表現する態度によって自分も動く、という流れの中での製作はかなりの充足感を得られ、音楽する喜びを完全に取り戻しつつあることが自分でもとても嬉しいです😊