予告編 -黄昏-
『夢日記』制作チーム
予告編 -黄昏-
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19××年 ?月 3日(木)
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ザアアア…と耳馴染みの悪い音が鼓膜を震わすのに気づき、真っ白な少女は重い瞼をそっと持ち上げた。
…ここは、何処?
朧気な記憶を辿りながら身を起こせば、そこは見知らぬ畦道。打ち付ける雨の水圧に思わず身動ぎしてしまう。身体を起こそうにも、上手く力が入らない。私は……どうなったの?どうしてこんなところに居るの…?
酷く寒い、氷みたいに冷え切った身体も……心も、寒くて堪らない。ただただ寒さに侵され、泥濘で汚れたワンピースなんて、どうでも良かった。
それにしてもこの手の震えは何?寒いから、かな。それとも見知らぬ場所に居る恐怖なのか。
もう分からない。何も、何も分からないの。
涙か雨か、もうぐっちゃぐちゃになった頭を擡げ、必死に灯りを探す。
真っ暗、どこも、どこも真っ黒だ。
ねえ、やだ。しにたくない。
まだ、しにたくないの。
『……寂しいよ。』
お願い……誰か、わたしをみて。
薄れゆく意識の中、必死で願いを唱え
私は、またそっと目を閉じた。
「もし、あんた……大丈夫か」
暫くして差し伸べられた光。
天使のようにキラキラしていて、美しくて。
それが希望だって…心が満たされて。
ただ、それに縋ったような気がするの。
それが、何だったのか。
確認する余裕なんて、少女には無かっただけだ。
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これは、純粋無垢な大人たちの物語。
大切な、大切な、記憶の欠片を探す物語。
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第二章-黄昏-
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✎*cast
00:愛月(アヅキ) Lia
01:星夜(セイヤ) √LETA
02:雲音(モネ) aru
03:心晴(コハル) 師匠
04:凪緒哉(ナオヤ) リラン
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#Yume_Diary
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「…わたし、が」
「そう。次の神仕ノ女(しんしのおとめ)。貴女よ」
放課後の校長室。悪いことでもしないと入れないような時間に、場所。無機質な革のソファにヒヤリと包み込まれる感覚が少し気持ち悪い。
「そう、ですか」
「…まぁ、大抜擢じゃない。この村の誇りなんだから」
大丈夫よ。みんなに任せてれば。校長のその言葉は少女の耳には届かない。あぁ、また、目立ってしまう。また、何か言われちゃうのかな。
怖いなぁ。
震える手を何とか抑えつけ、そっと眼を閉じる。
「私が雲音を守ってあげる」
……愛月、ちゃん。
大丈夫。今の私には、私を、私自身を、見てくれる人がいるから。
「ね、…榊さん。」
「……っ、はい」
大丈夫、だよね?
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