Memory5≫新都市の少女と旧都市の少女
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「お疲れ様でした。今から15分の休憩です。次のレッスンは生物学になります」
家庭教師の声がそう告げ、学習用端末のモニターが暗くなるとエリナはどっと息を吐き出す。毎日のことながらハードスケジュールだ。
「……いえ、こんなことでへこたれてたらいけませんね」
すっかり冷めた紅茶を飲み干すと、机の上を片付けエリナは次の授業の準備を始める。
エリナは日本でも有数のアンドロイドメーカーであるアリカワグループの一人娘だ。いつかは父親の跡を継いでその巨大な企業を背負っていかねばならないのだ。こんなところで弱音を吐いている暇はない。
「あと5分ね」
最後の気分転換に大きな窓からネオ・トーキョーを眺める。エリナの住む高層マンションからは街が一望できる。いくつも見える街の灯り。その一つ一つを支えているのが、自分の父親の作っているアンドロイドなのだと思うと身が引き締まる。
「うん、頑張らないと!」
エリナは小さく頷くと、モニターのスリープモードを解除するのだった。
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同じ頃。全く異なる心持ちでネオ・トーキョーの灯りを見ている少女がいた。
「ヴィーラ、何をしている?」
「アナスタシア……」
半分以上が倒壊し、海の中に沈んでいるビル群の屋上。ヴィクトリアが遠くのネオ・トーキョーの灯りを眺めていると、自分が所属している「人類解放戦線」のリーダーであるアナスタシアがやってきた。
「いや、あいつ大丈夫かなって……」
「……」
その言葉にアナスタシアは痛みに耐えるような表情を浮かべる。
「準備に時間がかかりすぎてしまったな……」
「そんなことねぇよ!アナスタシアは良くやってくれてる……ネオ・トーキョーに反抗しようなんて言ってくれる奴あんたくらいだ!」
ヴィクトリアが必死にそう言い募ると、アナスタシアは僅かに表情を柔らかくする。そしてヴィクトリアの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「ありがとう、ヴィーラもいつも子供たちの面倒を見てくれて助かっている。だからこそあの子が心配なんだろう?」
そしてアナスタシアはまた表情を固くすると決然と言い放つ。
「きっと……きっとあの子を助け出そう」
「…………うん」
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