ミルククラウン・オン・ソーネチカ
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
ミルククラウン・オン・ソーネチカ
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__𝔽𝕠𝕣𝕓𝕚𝕕 𝕚𝕥, 𝕚𝕥 𝕨𝕒𝕤 𝕒 𝕞𝕚𝕤𝕥𝕒𝕜𝕖.✩₊*˚
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久々に訪れた星天界は、想像していたよりもずっと綺麗だった。
否、きっと風景自体は前に来た時と何も変わっていない。
前回の召喚の時に起こった出来事が、一人の少女の死が、藍空の記憶の中の光景を曇らせていたのだろう。
藍空の心情とは真逆な、澄み渡った星空。粉々に砕け散れば良いのに、なんて考えて自分が嫌になる。
別に咲羽が死んだところで、悲しくなんてない。
今までの人生で、人の死には嫌になるほど触れてきたし、そんなことで動揺するほどやわな神経はしていない。
藍空は、咲羽と話したことすらなかった。同じ役目についているというだけで、ただの他人だった。
だから、胸を刺すようなこの痛みだって、重い何かに纏わりつかれているような感覚だって、きっと気のせいだ。
藍空が泣いたって、この最低な世界は何も変わってはくれないのだから。
当然のように、藍空の隣には紅愛が立っていた。
咲羽の死を理解出来ているのかいないのか分からない、ぼんやりとした紅の瞳。
あんなことがあった後だというのに、紅愛の立ち振る舞いは普段と何ら変わることがない。
何を想い、何を考えているのか。あるいは、何も考えていないのか。相変わらず理解出来ないままだ。
何気なく彼女の視線の先を追うと、そこには一人の少女がいた。
整った中性的な顔立ちに、憂いを帯びた表情。
獅子座の星巫女――柊葉だった。
藍空が彼女の方を見ていることに気付いたのだろう、その表情が柔らかい笑みに変わる。
以前会った時もそうだったが、柊葉の笑顔にはどこか冷たさを感じる。
冷たさというよりは、おぞましさという方が近いだろうか。
同じ星巫女の祈鈴が周囲に合わせるために見え透いた愛想笑いをしているのに比べて、柊葉の笑みはあまりにも「完成されすぎている」のだ。
まるで、自分の表情全てを無くして、その上で仮面を被っているかのようで。正直、気味が悪い。
はっきり言って、積極的に関わりたい相手ではないのだが――藍空がそんなことを考えているなんて知らずに、紅愛が彼女に話しかけようとしていた。
反射的に溜息が漏れる。紅愛は、人の表情や感情にまるで無頓着だ。
藍空がどれだけ紅愛を拒絶しようが、どんな言葉を浴びせようが、そんなことは関係がないとでも言いたげに距離を詰めてくる。
生まれ育った環境のせいか、それとも――
「藍空」
淡々とした抑揚のない声で名前を呼ばれ、顔を上げる。紅と目が合った。
「咲羽の死体がどうなったのか、見に行く」
……は?
思わず漏れかけた声を、なんとか押しとどめる。
信じられなかった。
咲羽の死を飲み込めていない星巫女もきっと多いだろうに、あっさりと「死体」という言葉を口にしたことが。
いや、そもそも死体がここに残っているということが――てっきり現実世界に戻されたものだと思っていたから――そして、その場所を紅愛が知っている、ということが。
混乱しかける頭を整理する。その間にも、紅愛は藍空の左袖を引いてどこかへ連れて行こうとする。
紅愛の向かう先には、柊葉がいた。
なるほど、藍空が考えごとをしている間に、紅愛は柊葉と話していたらしい。話しかけられるまでそれに気付かなかっただなんて、疲れているのだろうか。
柊葉がどうして咲羽の遺体のことを知っているかは分からない。だけど彼女のことだ、全くの出鱈目ではないだろう。そんな無駄なことをする人間ではない、はずだ。
気は乗らないながらも、紅愛の進む方向へと足を進める。左袖は解放されないままだ。
柊葉と紅愛に着いていくようにして辿り着いた先は、星巫女に与えられた自室へと続く渡り廊下だった。
こんなところに何が、と訊ねかけ――それよりも先に柊葉が前に進み出て、廊下の壁の一ヶ所を軽く叩いた。
壁だと思っていたその場所が、扉のように開いていく。
――隠し扉?
「この仕組みは、柊葉さんが見つけられたんですか」
柊葉と話すつもりはなかったけれど、流石に見過ごせなかった。星天界で普通に過ごしていて、気付けるものではない。
黙りこくっていた藍空が言葉を発したことが意外だったのか、紅愛の視線が一瞬、藍空の方へ向いた。
「……いえ。刹那さんに、教えて頂いたんです」
軽く目を伏せながら、柊葉はそう話した。そう言われて腑に落ちる。
あの刹那ならば、気が付くかもしれない。
常に場を取り仕切っている彼女は、星巫女としての務め以外にも何か目的を持っているような気がしてならない。星天界を調べていても、藍空としては何ら不思議はなかった。
黙って二人の会話を聞いていた紅愛が、不意に扉の向こうを覗き込み、その先へと足を踏み入れた。藍空の袖を掴んだまま。慌てて彼女の腕を掴み、引き止める。
扉の先には、古びた階段が覗いていた。
「地下室……?」
思わず発した言葉が耳に入ったのだろう、柊葉が小さく頷いた。
着いてきてください、とそのまま階段を下りていく。
紅愛がその後に続き、藍空も行かざるを得なくなる。
階段の下に待っていたのは、想像していたよりも狭い空間だった。隙間なく並んでいる扉のせいかもしれない。
奇妙な空間だった。もうすぐ夏だというのに、ひんやりとした冷気が辺りを包んでいる。
壁には、十数個の同じ扉が並んでいた。どこか圧迫感を感じさせる。
この扉の先に、咲羽が眠っているのだろうか。
そう考えたが、声には出さなかった。言われなくても、分かっていた。
きっとここは、霊安室。今まで存在すら知られていなかった空間。
最初からこの場所が用意されていたということは――星巫女は、いずれ死ぬ運命にあるということだろうか。
扉の数を改めて数えて、ぞっとした。
藍空も、いつかこの先に行くのだろうか。行かなければならなくなるのだろうか。
藍空の心に、じわじわと絶望が巣食っていく。
自分ではどうしようも出来ないのだということだけが、はっきりと分かっていた。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
🔥だって笑われてるから笑ってみたけど怒らせちゃうのなんで?
⚡いつも妄想するほどうまくいかなくて「ごめんなさい」ってなんで?
⚖ママに見せられないようなくしゃくしゃ頭に許してくださいって
🔥踏んだ方もそれなり心が痛いとか言ってたの
嘘ですか?
⚡出来ないそんな才能は無い
🔥出来ないそんな才能も無い
⚖出来ないそんな才能なんてどこのお店でも売ってくれないし
🔥天にまします神さまだって
こんなガラクタ御手汚しですか
⚡わたしだけが知ってる刹那に生まれた小っちゃな戴冠式
⚖ねぇ凛とすましてるお姫様にでも取って代わらせて
ソーニャ ソーニャ
🔥⚖️⚡️だって嘘ばかりtiny tiny世界に罪とか
🔥放り出したって
⚖それを恨んだって
⚡咎めなんかして損に得に?
🔥⚖️⚡️愛を説いて満足気な教科書の慣用句
禁じてください
間違いでしたって
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♋︎Cancer #星巫女_紅愛
🔥紅愛(cv.未蕾柚乃)
https://nana-music.com/users/2036934
♌︎Leo #星巫女_柊葉
⚡️柊葉(cv.希咲妃)
https://nana-music.com/users/8069295
♎︎Libra #星巫女_藍空
⚖藍空(cv.くろ)
https://nana-music.com/users/1544724
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴水野あつ様
https://nana-music.com/sounds/00d5d496
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
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