幽霊東京
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
幽霊東京
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__𝔸𝕤 𝕀 𝕘𝕖𝕥 𝕦𝕤𝕖𝕕 𝕥𝕠 𝕝𝕠𝕤𝕚𝕟𝕘.✩₊*˚
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咲羽が、死んだ。
その事実を受け入れるには、長い時間を要した。
思ってもいなかった突然の出来事に、千歳は混乱して。
心の整理がつかないままに、星天界に召喚された。
咲羽が死んでから、星天界に来るのは初めてだった。
星天界のドームの硬い床は、普段通り鏡のように磨かれていて。
咲羽の遺体は、残されていなかった。
元の世界に戻されたのか、それとも別のところに安置されているのか。千歳は知らない。
随分前から疑問を抱いていた星巫女というシステムに対し、恐怖しか湧かなかった。
人がこんなに呆気なく死ぬなんて、思ってもみなかった。
そんなことを思っていたって、星天界から見える星空は、今日も苛立たしいくらいに綺麗だった。
どうして、咲羽は死んでしまったのだろうか。
このままだと、繰り返してしまう気がする。星巫女の死を。
死ぬことは、「好き」という感情を失ってもなお、怖かった。
そんな恐怖を感じられる自分に少しだけ安堵して、すぐに自己嫌悪する。
「好き」を失ってからずっと、自分の中からいつか、一切の感情が消えてしまいそうで怖かった。
じわじわと少しずつ、自分が削られていくのではないかと、恐ろしくて仕方なかった。
それでも「恐怖」と「悲しみ」だけはきちんと残ってくれているようで。
何も安心出来る材料なんてないというのに、それでもほっとしてしまう。
そんなことを考えてしまっている時点で既に、千歳は壊れてしまっているのだろうけど。
あの日のことを思い出したくなくて、綺麗すぎるこの星空から離れていたくて。千歳は階段を降りた。
自室に向かう途中の渡り廊下で、星巫女とすれ違う。
艶やかな深緑の髪の少女――刹那だった。
軽く会釈してその場を通り過ぎようとし、「話がある」と呼び止められた。
足を止め、刹那の方に向き直る。
あんなことがあった後だというのに、刹那は怖いくらいにいつも通りだった。
「情報を共有しておきたい」
そう語る彼女の声は、星巫女に選ばれた日と同じように、自信に満ちていた。
本当は今分かっている情報を受け入れるだけで精一杯なのだけれど――善意で教えてくれる情報を、拒絶するわけにもいかなくて。
何も言い出せないまま、千歳はただ刹那の話に耳を傾けた。
曰く。
あれから刹那は、過去の事案も含めて、星巫女というシステムについて調べたらしい。
星巫女は神々を宿して、世界を守るために歌う存在。その言葉に嘘はない。
だけど、星巫女の安全は全く保障されていない。刹那はそう語った。
過去にも同じように、星巫女が亡くなるということがあったらしい。
だけどシステムが見直されることはなく、少女の死は「無かったこと」にされここまで続いてきた。
星巫女は、神をその身に宿すことで世界を守る。当然、身体も精神にも過度な負担がかかる。
このまま星巫女の役目を続けていけば、少しずつ衰弱していき――やがて死に至るのだという。
咲羽の死の原因も、おそらくそうなのだろう、と。
このままだと、他の星巫女も死んでしまうことになる。それを回避するには、星巫女を辞めるしかない。
だけど――辞める方法は用意されておらず、星巫女がいなくなった場合に世界がどうなるかは分からない。
それを聞かされて、まず湧いたのは怒りだった。
きっと中央政府は、千歳達のことなんてなんとも思っていない。
必要なのはただ、「星巫女」という存在だけ。
自分達の生活の安寧が守られれば、星巫女の少女達がどうなったって構わない。そんな風に考えているのだろう。
千歳達はただの生け贄で、人柱なのだ。
ならば、どうして。
どうして、自分の命を犠牲にしてまでそんな存在を守らなければならないのだろう?
星巫女なんて、いなくなってしまえば良いのだ。
そうすればこれ以上、誰も死ななくて済む。
千歳がそんなことを思ったことに気付いたのだろう。
考え込むような仕草を見せ、刹那は言葉を紡いだ。
「星巫女を辞められる方法は、きっとどこかにあるはずだ。私がまだ掴めていないだけで、召喚自体も何らかの規則性があるのだろう。調べてみて…何か分かりそうなら、まず連絡する」
その後も何か言葉を続けようとしていた刹那の表情が、一瞬固まった。
今までに見たことがないくらい、真剣な表情になる。流暢に紡がれていた言葉が止まる。
そんな幻のような一瞬の後、刹那の表情はすぐにもとの笑顔に戻った。
無理をしているのだろうか、どこか疲れているような気もする。
何か言葉をかけるべきか迷い、結局何も言わなかった。
一通りのことは話し終えたのだろう、刹那は部屋のある方向とは反対側へ向かい。
千歳は一人、その場に残された。
先程刹那が言葉を止めた時。何を見ていたのだろう。
彼女の視線を思い出し、その先を追う。
そこには、細く淡い輝きを放つ千歳の心鍵があった。息が詰まる。
心鍵は確か、星巫女でいるために必要なもので。
逆に言えば、心鍵がなければ星巫女でなくなるのではないだろうか。
刹那はそのことに気付きかけ、一瞬戸惑ったのではないだろうか。
あまりにも情報が少なすぎる現状、勝手な行動はリスクが高すぎる。
だけど――それ以上に、許せないという思いが千歳を支配していた。
幼い少女が、何も知らされることなく命を落として。その死はきっともみ消されていって。
許せるわけがなかった。
千歳は、咲羽のことを好きだと思えなかったのに。なんて歪な正義感なのだろう。
だけど、これは千歳が実行しなければならないと思った。強い使命感のようなものがあった。
これは世界を好きになれない千歳の、精一杯の償いだ。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
🍂燦然と輝く街の灯り
対照的な僕を見下ろす
☔あのビルの間を抜けて
⚜️色付き出したネオンと混じって
🍂僕の時間と⚜️この世界を☔トレード
🍂夜に沈む
⚜️終電で家路を辿る僕の
目に映るガラス窓に居たのは
🍂夢見た自分じゃなくて
今にも泣き出してしまいそうな
☔暗闇の中独りただ迷っている
哀しい人
☔🍂⚜️大丈夫、⚜️いつか
☔🍂⚜️大丈夫 ☔になる
🍂なんて思う日々を幾つ重ねた
☔🍂⚜️今日だって🍂独り
☔🍂⚜️東京の ⚜️景色
🍂に透ける僕は幽霊みたいだ
☔🍂⚜️失うことに慣れていく中で
忘れてしまったあの願いさえも
思い出した時に
涙が落ちたのは
🍂この街がただ
☔🍂⚜️余りにも眩しいから
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♉︎Taurus #星巫女_叶夜
☔️叶夜(cv.碧海)
https://nana-music.com/users/5927253
♏︎Scorpio #星巫女_千歳
🍂千歳(cv.07)
https://nana-music.com/users/96726
♐︎Sagittarius #星巫女_刹那
⚜️刹那(cv.ハナムラ)
https://nana-music.com/users/8640965
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴yassan様
https://nana-music.com/sounds/05d964fb
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
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