回る空うさぎ
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
回る空うさぎ
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__𝕀 𝕔𝕒𝕟'𝕥 𝕣𝕖𝕒𝕔𝕙 𝕚𝕥 𝕒𝕟𝕪𝕞𝕠𝕣𝕖.✩₊*˚
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星天界を訪れ、儀式の前に意識を失って。
気が付くと灯莉は、見慣れた部屋に倒れていた。
雨戸が閉められたままの、湿ついた埃っぽい部屋。
倒れている間に夜が明けていて、強制的に元の世界に帰ってきたのだろう。部屋の時計の針は八時を指していた。
――灯莉は、どこに行ったって出来損ないの欠陥品なのだ。
星巫女に選んでもらって、なのに与えられた役目すら満足にこなせなくて。
周囲と自分に嘘を吐き続け、騙して欺いて。
ああ、これは罰なのかもしれない。ずるくて嘘吐きな灯莉に、神様が与えた罰なのかもしれない。
灯莉は、普通に生きてみたかった。
中学校の友達のように、普通に味覚を感じられて、普通に笑いたいときに笑えて、大好きな家族がいて、家にはいつも明かりが灯っていて。
そんな平凡で幸せな普通を、感じてみたかった。
どうして、この世界はこんなにも不平等なのだろう。
どうして、普通の幸せすら、灯莉には許されていないのだろう。
お父さんがいなくならなければ。お母さんが病気でなければ。灯莉が味覚を感じられれば。
――それとも、灯莉が生まれてこなければ。
お母さんもお父さんも、幸せになれたのだろうか。
立ち上がるだけで眩暈がして、頭が割れるように痛い。
ふらつく身体で、学校に休む旨を連絡して――灯莉の代わりに連絡してくれる優しい人は、どこにもいないから仕方ない――そこからの記憶がない。
気が付くと灯莉はまた、星天界にいた。
二日連続で呼び出されるなんて、すごく珍しいことなのに――どうして体調が悪い日に限って召喚されるのだろう。
辺りを見回すと、そこには十二人の星巫女全員が揃っていた。こんな風に全員が集まるのは、初めて召喚された日以来だろうか。
灯莉に気付き、こちらを見ている叶夜と目が合う。
昨日倒れた後、叶夜と璃星と璃月が灯莉の分まで儀式を行ってくれたのだろう。本当に申し訳なかった。
倒れる直前に見えた、駆け寄ってきた叶夜の様子が思い出される。沢山迷惑をかけてしまったに違いない。せめて、お礼を言わなければ――そう思って立ち上がろうとし、遮られた。
「話さなければならないことがある」
声の主は、射手座の星巫女である刹那だった。初めて会った日も、こんな風に周りを取り仕切っていた。
全員の視線が、刹那に集中する。それを確認した刹那は、滔々と語り始めた。
「どうしてかは分からないが、今期の星巫女が全員集っているこの機会に、話しておきたいんだ。星巫女が十二星座になぞらえて呼ばれていることは知っているだろう?」
そう言って刹那は、十二個の星座の名前を挙げた。魚座、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、そして水瓶座。
誰に聞いた話かは忘れたが、その事実は灯莉にも聞かされていた。
灯莉は山羊座の星巫女である、ということも。灯莉の誕生日は山羊座ではないのに、奇妙に思ったことを覚えている。
それが、どうしたのだろう。特に訂正が必要な事実のようには思えないけれど――
「以前から、変だと思っていたんだ。自分の星座と、星巫女としての称号が一致しない星巫女が、私以外にも複数いるだろう? 星座とは関係なく決められているのかもしれない、とも思ったが……『世界を守る』なんて神聖な役割を担う星巫女が、無作為に決められているはずがない。何か他に理由があると思って、調べたんだが……」
星空の下。静まり返った空間に、刹那のよく通る声だけが響く。
「どうやら、私達十二人の他にも……星座の名を冠する星巫女がいたらしい」
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
⛓また夜空一周に 満たして欠いて流れる
🎈時を眺める だけじゃ笑えない
🔗回る空うさぎ 君と明日はイコール
🎈まけるな明日に 背を向けたくない
🔗から から
⛓いま から から
⛓🔗🎈遥か月を目指した今日の空は
彼方 西に流れた もう届かないや
🎈届かないや
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♊︎Gemini #星巫女_璃星 #星巫女_璃月
⛓璃星/🔗璃月(cv.唄見つきの)
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♑︎Capricorn #星巫女_灯莉
🎈灯莉(cv.瑠莉)
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₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴みどり様
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✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
#みどり伴奏
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