溜まった仕事を片付けよう【ジーグ】
NAZNA
溜まった仕事を片付けよう【ジーグ】
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朝、見覚えのある窓から日が差す。やっと耳慣れた漣の音も、暖かな風も無いその窓に、現実に帰ってしまったんだなぁ…と痛感させられた。
大あくび1つして頭をボリボリと掻きながら、工房の机に腰をかけて、バトンから持ち帰った小箱を開ける…夢への切符…さとらの呪詛もランダのリズムも冬の主の泪の母体も揃っている。そして、神の手の設計図…ここまで腕を上げてきた己の技術を信じて後は挑むだけだ!ジーグは静かに目に光を宿して箱の中身に手をかけた。
「おおお、おはようございますぅ!!ジーグさん!いらっしゃいますか!!」
急に飛び込んできた大声に、うっかり箱を落としそうになる。眉間にシワを寄せてドアを睨むと、半泣きのニフが立っていた。
「朝早くにすいませんん!ジーグさんのお帰りを待ってました!実は…」
バドン島視察隊が出かけている間も、キリエは動いている。それは自衛軍とて同じ事だ。何時もならば、街の武器屋であるジーグが武器のメンテナンスをしているのだが、長らくの不在で手入れをせねばならない武器が膨れ上がり、ついには出張所にまでメンテナンス待ちの武器が置かれるようになってしまったそうだ。
「近くの街の武器屋さんに代理をお願いしたのですが、軍の皆さんから苦情が上がってしまって…でもこれで一安心です!ジーグさん、よろしくお願いしますね!」
ほっとした顔でニフは帰って行った。
「…えー…」
詰所どころか出張所にまで溢れた武器…さぞ恐ろしい数がジーグのメンテナンスを待っているのだろう。自由な空気も明るい陽気も無いその窓に、現実に帰ってしまったんだなぁ…とジーグは改めて痛感させられた。
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成功率は1/3です。選曲、アレンジ等の歌唱選択により、成功率が変わります。
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