メルティランドナイトメア
鶯丸(cv.花鳥) × 審神者(cv.ひつぎ)
メルティランドナイトメア
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40.メルティランドナイトメア
主にも折角のハロウィンを楽しんでもらいたくてな。俺も怪談を用意してある。これは聞いた話だが、実際にあったことだそうだ。
ある墓地の側にある家では生物をたくさん飼っていた。
犬、猫、鯉、めだか、鶏、牛、ハリネズミなどなど……とにかくたくさん動物がいたらしい。
ある夜のことだ。滅多に物音がしない墓地からバサバサと鳥が飛んでくる音がし、驚いて家の者は目を覚ましてしまう。次の瞬間、「クエー、クエー」と奇妙な鳴き声が聞こえてきた。おかしいと感じた家の者が外を見ると、これまでには見たことのないような形の色鮮やかな鳥が犬小屋の上にとまっていた。
「クエークエー」
鳥が嗤うように鳴き続けていたと思うと、犬小屋から呻き声が聞こえてくる。慌てて犬小屋の様子を見に行くと、犬が苦しそうにうなされており、やがて目を見開き「グエエ」と呻いてそのまま死んだ。
鳴き声がリアル、だって?実は大包平と練習したんだ。大包平は人狼の装いをしていただろう?大包平も人狼の遠吠えを練習していたから、ぜひ聞いてやってくれ。
話に戻ろう。犬が突然死した家族はとても悲しみ、新しく亀を飼うことにした。しかし、また謎の鳥が現れて嗤い、亀は水槽の中で息絶えてしまった。
それからも謎の鳥は幾度となく現れ、生物が死ぬ。家の者は鳥が生物たちの死に繋がることを恐れ生物を他の家に譲ったりして、やがてその家には動物がいなくなった。
時が経ち、鳥のことも忘れたような2年後、
「クエー」
聞き慣れた忌々しい嗤い声。家の者が外を見ると、あの鳥がとまっていまた。そしてゆっくりとこちらに向けた顔を見ると、鳥なのにくちばしらしいものがない。その代わりにすっと鼻が長く伸びていて、まるで年老いた人間の顔のよう……。
家の者がひどく驚き怯えていると、ぴりりりりと電話が鳴る。それは父親が亡くなったという知らせだったそうな…………
生き物が生命を終える時、それを食らうためにわざわざ来る鳥がいるそうだ。きっとあの鳥は、命を食らうのが嬉しくて、嬉しくて、仕方なかったのだろうな。
#おーるはろーずいぶ
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