空想メソロギヰ
五虎退(cv.紫吳) × 乱藤四郎(cv.黒川かずさ)
空想メソロギヰ
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37.空想メソロギヰ
「お触り禁止ぃ!」
「痛かったら、言ってください…!」
乱藤四郎と五虎退は時間遡行軍と交戦していた。出陣していた第二部隊には他にも4振いるが、交戦中に逸れてしまったのだった。2振は攻撃を交わしながら敵を出来る限り引きつけ、刺す。
「……ッ!しつこい!」
「乱にいさん…!」
「大丈夫……!五虎退はそっちお願い!」
「乱にいさんは一度下がって……!あとは僕が!こ、こんなのもあります……!!」
五虎退は最後の時間遡行軍を倒すと、軽傷を負った乱藤四郎に駆け寄った。
「み、乱にいさん」
「だいじょーぶ!五虎退、ありがとうね」
「そんな、僕は何も……それに、怪我を…」
「もー!そこはどういたしましてでいいの!怪我だって軽傷だよ?帰還するくらいなんでも……っとと」
足に怪我を負いよろける乱藤四郎を五虎退が支えた。
「うーん、ちょっと深めに切っちゃったみたい」
「と、とりあえず陰で手当てをしましょう……」
2振が立ち上がった時、後ろから声をかける者がいた。
「こっち こっち」
振り返ると、そこには美しい少女が3人並んで立っており、2振を呼んでいた。
「怪我をしてるのでしょう?」
「手当てをしますからどうぞこちらに」
「大丈夫。私達は貴方達を傷つけません」
3人の少女はそれぞれ"なつ" "きよ" "とめ"と名乗り、2振を古めかしい小屋のなかに案内した。なつが2人に茣蓙を勧め、きよは乱藤四郎の怪我を丁寧に手当てし、とめが2人にお茶を出す。
「あ、ありがとうございます」
「助かったよ、ありがとう!なつさん達はこの辺りに住んでるの?」
「はい。皆〇〇村の出身です」
「へぇ、この辺りに村なんてあったんだ!〇〇村はどんな村なの?」
〇〇村の生活や特産品、流行りの遊びや祭の話、△さんと×さんの縁談の結果……
少女達と2振は軽い世間話を楽しんだ。
「そういえば、近くに大きい池があるよね。あの池にまつわる伝説もあるの?」
「はい。あの池には水神様が棲んでいらっしゃって、〇〇村に恵みをもたらしてくださるのです」
「水神様……良い神様、なんですね」
「水神様は村に恵みをもたらしてくださるので、村の者は皆信仰しています。だから、村の中で一番の器量娘になろうと皆努力するんですよ。水神様に気に入られるような、立派な器量娘に、ね」
「そう、ふふ」
水神様の話になった途端、3人の少女は頬を染め恍惚で妖艶な笑みを浮かべる。
「そういえば、お二人も見目麗しいですわね」
ああ、これは良くない。
直感する。
逃げなければ、いけない。
「あー!そうだ!僕たちもう行かなきゃ!なつさん達、ありがとうね。ほら、行こ」
「あら、あら、あら、ふふ。もぉすこしごゆっくりしていかれてもいいのですよぉ?」
「私達といっしょにぃ此処にいましょうよぉ」
「水神様といっしょに、ねぇ?」
くすくす
くすくすくす
少女は3人しかいないのに、声は何重にもなって逃げる2人を追いかけた。
2振が逸れた仲間と再会したのは水神様が棲まうという池のほとりだった。そこには石がいくつも並べられており、一つ一つに少女の名前が書かれていた。
その中でも特段古い3つの石。書かれていた名前から、2振は目を逸らした。
#おーるはろーずいぶ
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