第四話「宿屋の看板娘」/ DOWN TOWN(坂本真綾)
プリンセス・アテナ
第四話「宿屋の看板娘」/ DOWN TOWN(坂本真綾)
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第四話「宿屋の看板娘」
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👑「今日は待ちに待ったアイドルオーディション最終面接の日ね!」
🗡「姫様、一応表向きは姫様の身辺警護をする『親衛隊』の審査としていますから……あまり大きな声では……」
👑「わかってるわよ!
それじゃ、1番のあなた!前へどうぞ」
呼ばれて進み出たのは、薄紫の髪に星の髪飾りをつけた娘。
🔮「はじめまして、アテナ様。
わたしはネミッサ……ネミッサ・エステレラと申します」
👑「よろしくね、ネミッサ!それじゃ、自己紹介と志望動機を教えてくれる?」
🔮「ええ。普段はノースキャレイという辺境の小さな村で宿屋を経営しています。経営といっても、小さな店だから……経営も接客も、お掃除やお料理の下働きも全部わたし、って感じなのですけど」
👑「あら、ノースキャレイなら行ったことあるわよ。もう少し山の方へ行くと、いい温泉があるところよね」
🔮「そうなんです!あの温泉のおかげで、小さな村ですが客足が途絶えることもなく賑わっていたんです。ですが……」
🗡「何かあったのですか?」
🔮「ここ一年ほど、温泉の出があまりよくないんです。聞いた話では山の反対側、隣国のガルガスタン自治領での山林の開発が進み、水脈の流れが変わってしまったんじゃないかとも言われています」
👑「あら、そうなの……」
🔮「おかげで旅行者も立ち寄る冒険者も減ってしまって。だからわたし、宿屋で新しい事業を始めたんです」
👑「新しい事業?」
🔮「ええ!わたしの魔術を利用した占星術を始めたんです!」
👑「占星術!素敵ね!それ、今私にも見せてもらうことはできるかしら?」
🔮「もちろん!」
ネミッサは自分の荷物から水晶玉と一枚の布を取り出した。
布はオーガンジーのように薄く透けていて、魔法糸が織り込まれているのかキラキラとして光沢がある。
🔮「光を描き運命を導く者よ、星の女神よ、ここに祝福を……シュテル・セア・ナーナン……」
ネミッサが呪文を唱えながら魔力を込めると、水晶玉が幻想的な光を放ちながら宙に浮き、時折周囲に流れ星のような光の欠片が飛んだ。
指先で布をつまんで軽やかに振ると、一緒になって水晶玉がくるくると動き回り、その姿はまるでネミッサが光の精霊を従えて踊っているようだ。
しばらくして、ひときわ大きな光を放った水晶玉は、ふよふよと宙を漂いながらアテナの目の前にやってきた。
アテナが水晶玉を覗き込むと、そこには満天の星空が映し出されていた。
🔮「アテナ様、これからアテナ様がやろうとされている事は、アテナ様にも周りの方々にも大きな変化をもたらすものです。けれど、恐れなければ必ず良い結果が待っています」
ネミッサがそう告げるのを見届けたように、それから水晶玉はネミッサの元に帰り、そして光を失った。
アテナはしばらくほうっ……とうっとりしていたが、そのうちぱちぱちと大きな拍手を始める。
👑「すごい、素敵よ!素晴らしいわ‼
見た目の華やかさもだけど、あなた魔力のコントロールが上手なのね!」
🔮「ありがとうございます、姫様。わたしが小さい頃、村に滞在していたある老師にずっと魔術を教わっていたんです」
👑「なるほど、先生が良かったのね」
🔮「ええ。だから……わたし、もし姫様のアイドルグループに入れたら、叶えたい目標が二つあるんです。
一つは有名になって、宿屋のお客様がもっと増えますように。
もう一つは、またお師様に会えますように……」
👑「いい、とってもいいわ……!
昔お世話になった大切な人に会いたいなんて、なんて絵になる願いなのかしら!
何より私、お客が減っても諦めないその心意気に惚れたの!!
ネミッサ、あなたは採用決定よ!」
🔮「やったぁ!アテナ様、ありがとうございます!」
ネミッサはにこっと笑って、軽やかに一礼した。
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Lyric
🔮七色の黄昏降りて来て
風はなんだか涼しげ
土曜日の夜はにぎやか
街角は いつでも 人いきれ
それでも陽気なこの街
いつでもおめかししてるよ
暗い気持さえ
すぐに晴れて
みんな うきうき
Down townへくりだそう
Down townへくりだそう
Down townへくりだそう
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【ヴォーカル】
🔮ネミッサ・エステレラ
憂沢時雨
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【伴奏】
みっどないと様
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【テキスト】
あきなと。
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