初めまして「ハスタとふーら」
秘密結社 路地裏珈琲
初めまして「ハスタとふーら」
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腕にはグローブ状の重り、足首にはバンドで巻くタイプの足しひきできる鉛。甲板で竹刀の素振りをしているふーらを見かけたのは、確か風向計の修理を始めた朝のことだった。
今日は休みだ、一日のんびりした雰囲気漂っているけれど、四角く切り取った見たいにトレーニング道具が置かれたふーらの一角だけは、そんなのお構いなしに、張り切った空気で満ちている。
動力部の外の梯子から見下ろした、彼女が淡々と素振りをしたり、体幹を鍛える何かに励む姿は、短調なのにものすごく楽しそう。
「......ねえ、お嬢さん」
「はい!?」
びっくりしてこちらを見上げた彼女の顔が、汗でキラりと輝いた一瞬を、写真にでも収めておきたかったと思った。
「それ、私にも簡単なものから教えてくれる?腕力には、あまり自信がないの。今からでもつくかしら」
「...あの、えっと」
驚かせてしまっただろうか?シャイな女の子だったら、ちょっと失礼だったかも。静かに返事を待つハスタに向けて、ふーらは胸いっぱいに息を吸い込んで、思いっきりこう返したのだった。
「まずはぜひプロテインの種類を検討するところからご案内差し上げたいので、切り上げてそちらに伺いますー!!」
店の中まで聞こえる実質の“お友達になってください”。
ハスタの心配が、あっけなく吹き飛んだ。
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二人は早速、良い仕事仲間になったみたい。
「お話したいことがありすぎてもう、言葉に詰まってしまい」
「プロテインで1時間話せるって、才能だと思ったよふーらちゃん」
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