初めまして「ハスタとケネディ」
秘密結社 路地裏珈琲
初めまして「ハスタとケネディ」
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「......ハス、ちゃん!?」
「えっ」
「やっぱりそうだ!!私だよ、“ケネちゃん“だよ!!」
飛空挺への引越しを手伝い始めて数日、そろそろ今日も時間が来たと、身支度を整え始めた頃、ケネディが古い写真を手に飛び上がった。
荷物の中に仕舞い込んであった、いくつも写真がしまえる写真立ての一枚に、ハスタがまだ幼い少女時代にとられた物があった。写真の中の彼女は、巨大なお化けかぼちゃのランタンを抱えて、泥だらけで笑っている。
駆け寄って覗き込んだそれに想いを馳せればれ、すぐに思い浮かんだのは幼い頃、旅の途中にお世話になった農園のおばあさんとその家族の姿だった。
「子供の頃、毎年秋の収穫になるとおばあちゃんちに駆り出されてたんだ。私覚えてるよ、おっきな飛行船が落ちてきて、しばらくお泊まりする代わりにみんなで刈り入れのお手伝いしてくれた、旅の人たちのこと!」
おぼろげに浮かび上がってきた、風の音みたいな話し声は、今のケネディよりも随分高い。けれど、どこか面影のある響きは段々と説得力を得て、記憶の中に佇んでいた一人の女の子を見つけ出した。サクランボの髪飾りで前髪をぴょこんと束ねた、鼻の頭にいつも絆創膏を貼った、あのこ。金色の小麦みたいな髪に思わず触れて、明るい笑顔を間近で見たら、自然と口が動いていた。
「ケネちゃん...」
「見て、このカボチャ私が彫ったやつ!一個前歯欠けちゃったから捨てようとしたら、可愛いってハスちゃんが貰ってくれた、んだけど...」
見つめあったまま黙ってしまったハスタを前に、覚えてないヨネ、と自信なく笑ったケネディ。
「ごめんね、どうしても思い出せないんだ......その後一緒に作ってくれた、カボチャのパイの思い出が、大きすぎたみたい...!」
「ハスちゃあん!!」
「ケネちゃん、素敵なレディになって!!」
わあっと抱き合った二人の足元に転がった、写真の少女が、なんだかいつもより少し、色鮮やかに見えた。
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二人は、どうやら過去に一度出会っていたらしい。
ハスちゃんとケネちゃんは、運命の再会を果たしたようです。
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