第三話「お菓子と不思議と珈琲屋(完)」(歌羽)
秘密結社 路地裏珈琲
第三話「お菓子と不思議と珈琲屋(完)」(歌羽)
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それから数日、元気いっぱいのウタウとともに、嬉しい知らせが舞い込んできた。行方不明だった女の子が、大量に見つかったのである。
店の地下で箱に詰められ、何処かへと送られそうになっていた女の子達を、ウタウとカラシが間一髪回収して回ったのだ。甘美人中毒を起こして我を失っていたアダンはというと、どういう風の吹き回しか、重大な犯罪を犯したことを自ら認め、しかるべき機関に収容された。彼は聴取を受ける間、虫歯でも患ったかのように、時折頬をおさえて、切なそうに眉を下げていたという。
ドロップスの雨が降ると、素敵な事が起こる。
新しい友達ができて、大冒険の末に少しだけ女の子は強くなった。
抱き合って無事を喜び、仲直りした二人の涙と、この国に来てすぐ見舞われたドロップスの雨が、ポプカの中で重なり合っていた。
「ねえ、ポプカちゃん...ポプカちゃんたちは、一体」
初めて仕事に送り出された日、サトウさんから口酸っぱく教え込まれた言葉。
久しく口にしていなかったその決め台詞は、今更なんとなく照れ臭い気もしたけれど、今こそ自信を持ってこう告げよう。
「通りすがりの、珈琲屋だよ」
この国のどこかで燻る不安の火種は、まだ決して消えてはいないけれど。新しい希望や、未来の可能性は確かに芽生えた。今はまだ新芽のような、ショートケーキの女の子と、飴細工の女の子は、いつかこの不条理な世界を変えるために、明日も、明後日も、朝日を浴びて大きく伸びをする。
さて、お菓子の国の冒険は、もう時期終わりを迎えるだろう。
段々と人の姿に戻り始めた、お互いの様子にほっとするやらなごり惜しむやら...
次の風が吹いたら、彼らの姿は忽然と消えてしまう。
珈琲の残り香を覚えてくれていたならば、いつかきっと。
最後のお客を送り出し、札は静かに、closedへと裏返った。
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第三話 「お菓子と不思議と珈琲屋」 終
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※予定が長らくずれ込んでおりますが、ここで休止のメンバーさんのお知らせと、ラストストーリーに移ります。
ポプカさん
姐さん
のーねーむさん
ばーべなさん
以上4人の皆様、長らくお付き合いいただきありがとうございました!
休止の詳細については、後ほど別途詳しく書き直します。
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