お慕い申しています。

紙炉 命

戦争のお話。 少し長いので頑張ってください……。 ーーーーーーーーーー 「いってきます。」 綺麗な形をした唇から紡がれた六文字。 それだけで、私の心はこんなにも締め付けられる。 背を向けた貴方の広い背中が やけに小さく見えた気がします。 できることならその背中にすがりついて、 心の内をすべてさらけ出してしまいたい。 ねぇ、私達ずっと一緒にいたじゃないですか。 ねぇ、これからもそうだって、約束したじゃないですか。 戦争なんて、国なんて、身分なんて。 そんなことを考えても仕方がないのはわかってます。 何度考えたって貴方は旅立ってしまうのだから。 神様、なんと残酷なことなんでしょうね。 私はただ、彼と生きていきたかっただけなんです。 些細なことで喧嘩して、仲直りして、 その度に少し豪華な夕飯を作ったりして。 そんなことがしたかっただけなんです。 そんなちっぽけな幸せを願った2人は どんな罪を犯したというのでしょう。 あまりにも、悲しすぎる。 ぼやける視界の中、 私は決して目を逸らさなかった。 ちゃんと覚えていないと、 次会った時に思い出せないかもしれないから。 もしひとつ願いが叶うなら、 彼と幸せな世界でまた会えますように。 そしてその時こそ、私は彼に伝えるんです。 「おかえりなさい。」 ーーーーーーーーーー #ピアノ #即興 #悲しいBGM #切ないBGM #自作 #弾いてみた #BGM #声劇 #1人台本