夜な夜な夜な
倉橋ヨエコ/キャプション:スライムてきながくせい
夜な夜な夜な
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#七色連歌 #出席番号ゼロ
三笠大和:刹那
夜になると、あの日のことを思い出す。
暗い記憶は闇の中から魔手を伸ばすようで、一人眠る度、あの立ち尽くしたように見えた影が脳裏で蠢く。
友の死を見て、しかし気付かず、後に理解した。誰がこれを忘れられるだろうか?
隣は今日も静かで、自分の呼吸音がよく聞こえる。胸が動く音さえ、なんとも憂鬱にさせた。
あの時、もっと早く通報していたなら、とたらればを頭の中に垂れ流す。それであいつが助かっていたかもしれない、などと。
時も立場も過ぎた話だ。本当に自分の手で助けられていたのか。いや。自分が見た時には、既に。そもそも今更だ。だからこそ、後悔しているのだ。だから、自己嫌悪が続くのだ。
友などと、そのように言えた立場ではないのかもしれない。相内を見殺しにしていたのかもしれないと、疑念が常に出来ている。あれを見て、死んでいたなどと誰が思うのか、と考えるのは……傲慢、言い訳、苦し紛れの方便だろう。
もし生きていたなら、友でいられたのだろうか。友でいさせてくれるだろうか。
答えが返るはずもない。もう夕暮れだ。
電柱の影が高く長く、縦に伸びていた。
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