【報酬外伝】弱(ジャク)を放つ
OCEAN TRAVELERS
【報酬外伝】弱(ジャク)を放つ
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【報酬外伝】弱(ジャク)を放つ
昔から、弱い自分が嫌いだった。
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「うんち、、、、、もれ、、、」
「姐さん気をしっかりwwwwwwww」
爆笑しながらも私を支えてくれるリン。最早叫び散らかす力も残っていない私は、全神経をケツの穴に集中させるしか能のない害児と化していた。
イケブクロとかいう場所で訳の分からん神様達の戯言に付き合わされたかと思いきや、唐突に飛ばされたこのシンジュクの地。もう何が何だかよう分からんけど、取り敢えず今はトイレに行きたいという感情以外わかない訳でありまして。
「あった!!!!トイレッッ!!!!」
「うおおおおおおおおっっっっっっっっ!!!!!!」
迷いに迷ったシンジュク駅内でのトイレ捜索。流石にダンジョンと言われるだけあって、駅から出るのも一苦労、トイレを探すのも至難の業ときたもんだ。が、見つけてしまえばこっちのモン…
「くっっっっっっそ行列マジかぁぁぁぁぁ!!!!!」
目の前に広がる光景は非情にも程があって、
「マヂ、、、、無理。。。。」
こういう時の集中力が途切れる瞬間というものは「おはなばたけ」が見えるものであり、
「姐さんッッ!!!!!」
リンの、悲痛(?)な叫びが耳に届くか否、
「お困りかな〜?w」
突発的だった。
人を小馬鹿にするような笑い声と、パチンッと軽快に指を鳴らす音が耳に飛び込んできたのは。
「え、何。」
どうやらそれはリンにも聞こえたようで。
「ほい、いっといれ〜。」
気付けば辺り一面、灰色の世界。長蛇の列を成していた人々の姿は消え、目の前に広がる快適空間に飛びつかぬワケがなく、
「神様ァーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!」
突如眼前に現れ、この空間を作り上げた張本人に、イケブクロのあの場所で見上げた神の1人に、私は叫び散らかしながら個室へ駆け込んだ。
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「んで2人はこの後どうすんの?」
いや神との距離ちけぇ!!!wwwwwというツッコミはさて置き、窮地を救ってくれたレタと共にぶらぶらするシンジュク内。安心安全の眼帯も装着し、品のある私に戻れた事これ歓喜なり。
「カラオケ行きてぇ。」
「姉さん流石じゃん、私も行きてぇ。」
……品の……はい(割愛)。
「え、俺も行きてぇ。」
「よし、近くのカラオケ探そう。」
提案に乗っかった私とレタの同意を聞くやいなや、早速端末で検索をかけるリンだが、
「あれ、圏外じゃん。」
画面に映る電波マークは圏外を示す。首を捻る私らに
「あー、すまん。世界戻すの忘れてたわ。」
なんだか知らんけど、頭をポリポリかきながら大層なトークをサラッと口にするレタ。
【ォォォォォォォ……】
途端、地の底から沸き起こる様な、どよんとした心地の悪い何かの鳴き声が谺する。
「え、なになに!?」
「まぁ、カラオケ行く手間省けたかもな。」
「はい???」
楽しんで?、と。レタが口にした瞬間だった。
「危ないっ!!!!」
ドン、とリンに強く押される。「なにす、」
振り返った瞬間、人の姿形を模した真っ黒な物体の爪牙が、たった今、私のいたその場所に降り注がれる。
「な、なんなんこいつ…、」「しゃがんでッ!!」
ふらつきながらもリンの指示に従う。すると今度は頭の上を鋭い何かが掠める音がヒュンッ、と鳴る。
「っらぁっ!!!!」
屈んだ視界の先、眼前のリンが常人のそれを遥かに凌ぐ跳躍を魅せ、私を狙ったのであろう、背中にいると思しき物体目掛けて回し蹴りを食らわす。
「「は。」」
その威力にたまげたのは私だけでなく、蹴りを放った彼女も同様であるなんて。
【ッギァァァァァァ】
黒い物体は耳障りな叫び声を上げながらリンの一蹴りで数十メートルぶっ飛ばされ、遥か遠くの地平をバウンドしながら無惨にもバラバラに砕けていった。
「え、なにこれ楽しい。」
そんな強さを、羨ましく思った。
「姐さん、私カバーするからさ。ちょっと暴れようぜ?」
あのすさまじい蹴りを見せつけた後で言う台詞では無いと思うけどそれはwwwwww
「いや、私はいっかなぁ…w」
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眼帯をするのは、自分の弱さを隠す為。瞳の動きから連想される自らの動揺を、人に知られないようにする為。昔からそれでばかり人に蔑まれてきたから。弱さを、自分を、他人から隠して慎ましく生きる……。そう決心してこの両目を隠して生きてきた。
「眼帯かっけぇwww」
それなのに、
「ちょ、私も真似しよー!」
彼女の一言で、
「おそろじゃん神。姐さんって呼ぶわ、ね!姐さん!」
私の世界は、恐ろしい程に明るく切り替わった。
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「いくよ、姐さん。」
引き戻される灰色の世界。私の眼帯に添えられるその手の温もりに応えて、
「おそろで、いこうぜ?」
私も、彼女の眼帯に手をかけ、
━━━弱いようで強い僕……!!
互いの眼帯を、引きちぎる。
━━━This is my own judgment!! Got nothing to say!!
視界は良好、このやり取りの間にいつの間にか群がった黒の大群目掛けて、突っ込む。
━━━もしも他に、
クロスさせた両の手には、見覚えの無い馴染みのある二対の刃。熱く纏う大気を感じながら猛進する己にマッチしたそれは、両刃をギラつかせながら恐ろしい程の切れ味を発揮する。
━━━何か思いつきゃ速攻言うさ!!
掛け合うようにリンの歌声が響く。私の死角から飛び掛かる物体を遠方から退けてくれているのか、視界に映らない遠い場所で爆発音が谺する。
━━━「完全感覚Dreamer」がボクの名さ
スッ、と壁を前に急停止した己の背中にピタリと寄り添う背中。あれ、さっきまで遠くに居たんじゃなかったの?なにその銃剣、しかも二対とか。
「おそろじゃん?」互いの武器を見て、
「へへっ、」双方、笑う。
━━━Well, say it ?
準備はいい?なんて言葉はいらない。アイコンタクト、そして彼女の歌声がそれを示す。それがあれば、充分だ。
━━━well, say it!!
共に、進め。
━━━あればあるで
「あたしらから逃げられっと思うなよなァッ!!」
前方に群れる黒の塊へ、
━━━聞くが今は
「うちらに手ぇ出してタダで済むと思うなよなァッ!!」
双対の爪牙を、
━━━Hold on!!!!!「「喰らえッッッ!!!!」」
刻み絶つ。
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「痺れるゥ〜」
ヒュウ、と口笛を鳴らし、シンジュク駅のテッペンから2人を見下ろす神。無惨に散った数十体の残骸を眼下に、その一部始終を見て満足したのか。相変わらずのへらついた顔を更にへらつかせて、踵を返す。
「2人であんだけ«影»を殺れれば上等だわ。」
楽しみだなぁ、と。笑いながらその場を去った神の目論見は果たして。
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挿入歌
「完全感覚Dreamer」
https://nana-music.com/sounds/054fa0f5
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【報酬外伝】
対象グループ 🐠サメ🐠
ご無沙汰しておりました【報酬外伝】3作目はサメのお2人による戦闘ストーリーです🦈💥
熱いですねぇ……熱いですよォ……熱く参りましょう🔥🔥🔥(単細胞並みの低語彙力)
今回はそんなお2人による1月有志サウンド「完全感覚Dreamer」を元に書かせて頂きました!時間軸は第1話終了~チーム戦に至るまでに遡りますね( ˇωˇ )
このうんちうんちしいサメにも悩める乙女がいるのよ💓というエモ要素を注ぎ込んでみました。
因みにタイトルも今回の主役の名にかけているとか、いないとか🤭🤭✨
はてさて、皆様はイルカの外伝を覚えていますでしょうか。あちらではチームに干渉する神の姿がありました。
今回もサメに関わる神の姿がありますねぇ……、これが何を意味しているのか。真相が解明されるのはまだ先の様です😎✨是非、考察してみて下さい!!
皆様の意欲の源となれば幸いです。今後とも、よろしくお願い致します👾✨
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